「極楽、極楽」京都で湯葉会席、一献傾ける (nya.52)

ねこ、風太見上げる

見ての通り、ここも、わしのシマじゃ。隣の家の庭。

「生きる愉しみ」はゆずれません。 (2014年 6月)

そして6月になりました。

4月も5月も「3週間に一回の通院生活」を送った私は、【乳癌ステージ4】と診断された自分が、これほど病院や病気に「拘束されず」に生活を送れることに、驚き、感謝し、満喫していました。

四季の移ろいのささやかな変化も「目に焼き付けなければ」と貪欲に愉しみ、気が付けば梅雨の季節になろうとしています。

体調は、放射線治療の副作用(参照:放射線治療後に現れたあれこれ (nya.37))があるものの、生活に支障がある程のものではなく、むしろ【乳癌ステージ4】の私が、この程度の「軽微なダメージ」で生活していることの方が「信じられない」と感じていました。

ねこ、風太ミニ93月に我が家に「降臨」された風太(日本猫)も、すっかり我が家に馴染み、家の中を元気一杯に走り回るようになりました。

「猫を飼う」ことを歓迎していなかった両親は、しばらくは「想定以上」に風太が可愛くて仕方ないことに面食らっているようでしたが、この頃には「全面降伏」。

まさに「猫可愛がり」状態、今では風太が何をしても「褒めて」います。(笑)

全てが嘘くさいほどに平穏で、私の気持ちにも余裕が生まれ、「ああ、それにしてもよく頑張ったぞ、私。ここらでちょっと、自分にご褒美をあげても罰は当たるまい。」と思うに至りました。(笑)

私の趣味は第一に「読書」ですが、その他に「仏像フェチ」「神社仏閣フェチ」というオタク趣味もあります。

あまり共感を得られない趣味なのですが、「観ることが愉しい」という感覚よりは、仏像や神社仏閣を観ると文字通り「血沸き肉躍る」のです。(笑)

丁度その頃、京都国立博物館で『南山城の古寺巡礼』の特別展が開催されていることを知った私は、「よし、これを観に京都へ行こう」と思いました。

「これ」がなぜ、「自分へのご褒美」になるかというと、必ずお昼は南禅寺の湯豆腐の老舗『順正』で「湯葉会席」をいただき、昼酒を一献傾けることにしているからです。

ねこ、風太ミニ10以前、伊藤若冲の特別展を観に京都に行った時、母親も見たいというので連れて行き、年寄り連れでしたので、京都駅に着き、その足でタクシー乗り場へ。

「少し、贅沢をしようか」と、予約もせず、南禅寺の湯豆腐の老舗『奥丹』で湯豆腐を、と思い向かいました。

しかし『奥丹』は満席で断られ、すぐ近くの『順正』にタクシーを回してもらったのが始まりです。

『順正』でも「湯豆腐」を食べようとしたのですが、座卓がぎゅうぎゅうに並べられ、観光客でものすごく混雑したお座敷席に通されました。

「これは、窮屈すぎる」と思い、店の人に尋ねると「5千円以上なら、奥の別棟に案内出来ます。」と言われたので、そちらに移りました。

案内されてみると、大きな窓から見事な日本庭園が見え、先刻までの「雑踏」が嘘のような静けさです。

折角だから、珍しい湯葉会席を頼んでみると、「嵌まり」ました。(笑)

「湯葉会席」は、鍋に豆乳を張って湯葉が出来るのを待ち、出来上がった湯葉をすくって食べるのですが、私たちのような「呑兵衛」(私は酒飲みサラブレッド、当然母親も呑兵衛です。)たまらない、なんとも「ゆったり」した時間が流れます。

湯葉を食べ、次の湯葉が出来るまでの時間が絶妙で、窓から見える日本庭園を愛で、「待ち時間」に会席料理を摘みながら、チビチビと舐める日本酒がなんとも言えず美味しいのです。

ねこ、風太ミニ2その後タクシーで、ほろ酔いのまま「世にも美しいもの」を鑑賞し、再びタクシーに乗って京都駅に戻り、購入した「図録」を電車の中で見ながら「幸せな反芻」をし、帰途に就くのです。

殆ど歩かずタクシーで移動するところが「ミソ」で、高齢の母親と、体力の落ちた私には『極楽』です。

今回の京都国立博物館の『南山城の古寺巡礼』特別展でも、「それ」をしようと思ったのです。

私の会社の休みは「不定期」なので、なかなか友人と都合が合わないのですが、今回はたまたま母親とも親しい友人と都合が合い、母親と3人で京都に出掛けました。

友人も「呑兵衛」なので、たちまち「湯葉会席」に嵌まりました。

当然、私が【乳癌ステージ4】と分かってから初めての『極楽』京都です。

話題は、他愛もないことから私の【乳癌ステージ4】まで、思いつくままに話します。

「生病老死」を当たり前のことと思い、タブー感なく話すのが私たち一行のいいところです。

友人の知人で、私と同時期に乳癌と分かった人がおられ、その方は「手術、放射線、抗がん剤」のフルコースの治療を受け、今は抗がん剤の治療途中で、「とても辛くて」中断したいと医者に伝えても、医者が中断を認めないらしい、という話も聞きました。

手術に掛からないくらい「手遅れ」である私が、こうして京都で「湯葉会席」をつつきながら、母親と友人と「一献」傾けていることを思うと、「人生の不思議」をしみじみ感じました。

neko,huutaミニ3湯葉の原料である「豆乳」についても、乳癌に対する「功罪」の意見が分かれるところです。

私が読んだ乳癌ブログには、「豆乳のイソフラボンは、女性ホルモンに近く、ホルモンを活性化させるので、ホルモンを抑制する必要のある乳癌患者は、食べない方がいい」という意見と「豆乳のイソフラボンは、癌の働きを抑制するものであり、積極的に摂るべき」という意見の両方がありました。

「どちらが正しい」と言えるほどの知識を私は持ち合わせませんが、自分の決めた「美味しいものを美味しくいただく」という信条を基準にすれば、美味しいお酒で美味しい湯葉をいただければ、ストレスも下がり、「身体にいい」と信じていますし、母親と友人に「豆乳の功罪」を伝えましたが「まあ、美味しいからいいんじゃ?」と気にしません。

「美味しいね」「美味しいね」と言いながら食べ、こうした時間を過ごすことが「生きる」ことだと思いますし、「これは譲れませんな」と思いました。(笑)

【乳癌ステージ4】は、私が望んだことでも、選んだことでもありませんが、「おかれた状況」の中で、何を優先して生きたいのかを「選んで」過ごすことが、「納得」や「満足」をもたらします。

私は、一分一秒の延命よりも、美味しいものをいただき「美しい」ものを愛で、心穏やかな時間を過ごすことを「選び」ます。

正解はありません。どのようなものであれ、自分の意思で選んだという実感を持てることが、大切なのだと思うのです。

その後、『順正』でさんざん昼酒を仕込んだ3人は、次の国立博物館に行く前に、30分ほど京都観光をしてくれるようタクシーの運転手の方と交渉し、快く引き受けて貰いました。

「プチ京都観光」の後博物館に着くと、酔い覚ましのコーヒーを飲んでから鑑賞。

鑑賞後、博物館の中庭のテラスで宇治抹茶パフェを食べてから京都駅に向かいました。

「ああ、『極楽』気持ちよかった。」

「私の人生、これでいこう」と、一人、何度も頷きました。

次は

です。

 

山あじさい

山あじさい

 

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