浅い春、思い掛けず岩清水に出会いました。 (nya.1594)

ご近所の山の岩清水

ご近所の山の岩清水

「岩清水(いわしみず)」って、やっぱり神さまを感じますよね。 (2021年3月12日)

 

私は生まれ落ちた田舎から一歩も動かず半世紀以上暮らしていますので、自分のことを「この土地に生まれた人間」というよりも畑のじゃがいもと同じように「この田舎で穫れた作物」のように感じて生きています。

ですからこの土地との結び付きは「とても深い」と思いますし愛してもいるのですが、、、詳しくはありません。

実際のところ昔のように「村人総出」で何かをするという行事がない以上、用もないのに村の中をうろうろ徘徊すれば村人であろうとも「不審者」ですし、たいていの所用は「スーパーかホームセンターか100均」で事足りますから、「スーパーとホームセンターと100均」の品揃えの方がよほど詳しくなるのもむべなるかな、というものです。(笑)

ご近所の山の岩清水

ご近所の山の岩清水

そんなこんなで半世紀以上暮らしている田舎でも、同じ「大字(おおあざ)の村」に未踏の場所がいくらでもあり、先日そんな「未踏の地」を探検する機会があり、偶然「岩清水」に出会って、当然ありがたく「がぶ飲み」しました。

その日は午前中に私のうっかりミスで返信していない書類があり、大慌てで郵便局に駆け込んで速達をお願いしたことから始まりました。

もちろんもちろん「天下の素浪人(プータロー)」である私のことですので、郵便局へ寄った後はたっぷり時間がありますから、帰り道は春の田舎の風景の写真を撮りまくるつもりで、慌てつつもしっかりデジカメを持って出かけました。

ご近所の山の岩清水

ご近所の山の岩清水

いつも通り田舎道で適当に車を停めてはカメラのシャッターを切り、家の近くまで来た時、ふと、このまま家に帰るのも味気ない気がして、いつもは通らない「あの峠道」を通ってみようかと「魔が差して」しまったのです。

浅い春の一日らしく薄曇りで、草が生い茂っていないこの季節にしか山の散策は楽しめません。(ニョロニョロが怖いから、笑)

「あの峠道」はガードレールもなく、「県道」とは名ばかりの車が対向できない細い道が山肌に沿ってくねくねと続いていて、うっかりニョロニョロに出会ってしまって急ブレーキを踏んだら、ニョロニョロはご無事でも自分は崖下へという類いの「峠道」です。

ご近所の山の岩清水

ご近所の山の岩清水

平日の午前中、こんな峠道を好んで通る車もないだろうと踏んで、数十年ぶりにおっかなびっくり超低速で車を走らせました。

無事に峠道を踏破して「山の向こう側」のふもとの村まで到達し、何やら奇妙な「勝った♡」感を得たのですが、こうなってしまうと峠を避けて帰宅しようと思うと平地を10キロほど走らなければならないため、Uターンして再度峠を越えることにしました。

逆側とは言え2回目ともなると、心に景色を楽しむ余裕が生まれます。

行きには見えなかった「岩清水」に気付きました。

ご近所の山の岩清水

ご近所の山の岩清水

そこ以外は特に岩が露出している所もない峠道の、ただ一カ所だけ岩が現れ、沁み出した湧き水が岩肌を濡らし、日の光を受けてキラキラと輝いていました。

古墳が多くある田舎ですので、この峠道も4世紀頃には往来があったと思われます。

自動車のない時代の方が圧倒的に長いのですから、現代以外は、この峠道こそ「生活道」だったのです。

滝のような神々しい水流でもなく、有名な湧水のように滾滾と湧き出しているわけでもなく、ちょろちょろと頼りなく、でも春夏秋冬尽きることなく流れ続ける岩清水は、峠道で疲れた村人にとって手を合わせたくなる「恵み」です。

ご近所の山の岩清水

ご近所の山の岩清水

この土地に連綿と暮らし続けてきた村人の末端に位置する私ですから、慌てて車を停めて手を合わせました。

なにごとの おはしますかは 知らねども  かたじけなさに 涙こぼるる

水の気配の何もない山の岩肌から水が沁み出すことについて、現代の知識を持ってすれば何も「不思議」はないのですが、やはり八百万の神さまと共生する日本人DNAを持つものとすれば、そこに「神さま」を感じずにはいられません。

美しいと思い、有り難いと思い、人知を越えた計らいを感じます。

ご近所の山の岩清水

ご近所の山の岩清水

思いもよらない岩清水に行き会う幸運をいただいたのですから、病身の我が身のことを思えば「これは、お腹いっぱいになるまで飲み干さねばなるまい」と思い、一礼していただきました。

繊細な方ならば「水質は大丈夫かな?」と一抹の不安を持たれるかもしれませんが、そこは、ホレ、私は「この田舎で穫れた作物」を自負しておりますので微塵も心配しません。

逆に、私が生まれ暮らしている自然豊かな田舎の、天地の精を凝縮して湧き出しているこの水でダメージを受けるのなら、私が現代の闇に穢れているのでしょう。(笑)

ご近所の山の岩清水

ご近所の山の岩清水

お腹がガボガボになるまで岩清水をいただいて人心地ついてから、そう言えば、この山の隣の山の名前は「龍王山」、この峠を降りた私の氏神様の近くに「りゅうごん様」があるんだから、この岩清水も「龍神様」なのだろうかと思い至りました。

「ありがたやありがたや」と呟きながら、峠の頂上の山を見上げると、飛行機雲と見紛うばかりの一筋の白い雲。

「ううん、これはもう、この雲は龍神様と思い込むのが良かろう」と、自分の現世利益ぶりに呆れつつ、より一層お蔭をいただいた気になり、テンションが上がりました。(笑)

「これだから、プータローは止められませんな♡」と罰当たりなことを思ってほくそ笑みながら、思いがけない岩清水との出会いに心弾ませて、今度こそ峠道を下って帰宅しました。合掌。

(おしまい)

一筋の雲と青空

一筋の雲と青空

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一筋の雲と青空

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浅い春、思い掛けず岩清水に出会いました。 (nya.1594)” に対して4件のコメントがあります。

  1. 弥生の空 より:

    ふるゆらさん こんにちは♪
    その後お腹の調子は大丈夫でしたか?笑
    羨ましい田舎生活です。
    私も(思い込み激しく生きていますので)この一筋の雲は、龍神様だと思います!
    ”よく気がついたな。またいらっしゃい”と言ってくださっているようです。

    先日誕生日を迎えたのですが、美しく咲く桜の花を見て
    「私はこうして毎年大自然からお祝いされてきたんだな。幸せ者だな♡」
    と図々しく思いました。笑
    最近プラス思考が増しまし、加速してます。(*´▽`*)

    1. ふるゆら より:

      弥生の空さん、お誕生日おめでとうございます♪

      そちらはもう桜が咲いているのですね。

      こちらは梅の花が終わりかけていて、桜の蕾はまだまだ固いままですよ。

      先日「弥生3月になったけど、弥生の空さんからお便りがないな、体調は大丈夫かな?」と思ったところに、タイムリーなコメントをいただきました。

      私の胃腸は問題なかったですよ。

      龍神様が祝福してくださったおいしい水でした。

      「思い込み」によると、霊験あらたかでご利益があるに違いない、私の病も好転すると信じています。(笑)

  2. sizu より:

    お~~~~~~~~!
    又、驚きました
    良く行きましたね
    岩清水も、見つけて飲んでみるなんて
    だけど文章通り、いにしえの御先祖は、そうして
    生き抜いて 来られたのでしょうね
    自然に飲める水は命の元ですね。

    1. ふるゆら より:

      そーなんですよ、知らない山の岩清水なら躊躇するかもしれませんが、幼馴染のような地元の山。

      しかも岩清水の湧き出ている場所から山頂まで、人工的なものは何もないのですから安心安全です。

      とてもおいしい、優しい水でした。合掌。

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