乳がんステージ4の私がたどり着いた「東京オリンピック」(nya.1727)
紆余曲折あったけど「東京オリンピックと私」、お互いたどり着けて良かったね(笑) (2021年7月23日)
2021年7月、本日開会式を迎えた「東京オリンピック2020」。
出場されるアスリートの方々とは全く異なる次元で、私もサバイバルして無事この日を迎えることが出来て感無量です。合掌。
東京オリンピック・パラリンピックに出場される世界各国の選ばれたアスリートの方々、出場を逃した方々、それぞれに必ず人生を賭けたドラマがあるように、私を含む、この日を迎えたアスリートではない人間にも、それぞれに必ず人生を賭けたドラマがあります。
アスリート方々のように一つの領域へ傾注し、分かりやすい形の努力や献身、成果がなくても、「生きてこの日を迎える」というミッションに対して、サバイブした人が今この星にいて「東京オリンピック2020」を目撃しているのですから。
東京オリンピックの開催が決定したのは2013年9月、その時の私は45才でした。
40才代に突入する前後から坂道を転がり落ちるように低下する体力、途切れることのない様々な原因不明の体調不良を抱え、それでも自分が乳がんのステージ4だとはつゆ知らず、心と体力を削られながらフルタイムで働く日々の中で、7年後に開催される「東京オリンピック2020」の一報を聞きました。
半年後の2014年3月、46才の私は、診察室で骨転移無数・リンパ節転移無数で真っ黒に写った自分のPET画像を呆然と見ながら「あ?こりゃ死ぬな」と思い、自分が浸潤性小葉癌、乳がんステージ4の末期がん患者だと知りました。
衝撃でホワイトアウトした頭を抱えながら病院を出て運転し、落ち着こうとファミレスに立ち寄り、改めて真っ黒なPET画像をバッグから取り出して見ながら、自分の3年後、5年後を思い描こうとするものの、「乳がんステージ4の5年後生存率は30%」という事実に、さっぱり実感が湧きませんでした。
しかし、ふと「・・・待て待て待て、いやいやいや、ひょっとしなくても、5年後にこの世を卒業しているということは2019年、6年後の東京オリンピック2020の開会式を見られないってことなんじゃ?・・・うわっ、どんな演出なのか楽しみにしてたのにぃ」と思い至った瞬間、自分が生きることを赦された残り時間があまりにも短いことが、すっぽり腑に落ちました。
私という人間は、いろいろと未熟で、不完全で、欠落や歪みが多く、嘆かわしい限りです。
これまで辿ってきた人生の道程も、「人生、山あり谷あり」というありきたりな言葉だけで「ほんとにね、、、」と涙ぐんでしまうほど(笑)、順風満帆なものではありませんでした。
でも、、、それでも、私が自分を「果報者」だと自認して揺らがないのは、様々な人格的な短所を補い、さらにそれらを大きく上回ってお釣りがくると思っている果報があるからであり、それは私が「不死鳥のような楽観的な魂」を持ち合わせて生まれ落ちるという幸運をガッツリ享受しているからです。
だから、がん告知を受けたその日も思いました。
「よし、とりあえず目標は7年後の東京オリンピックの開会式を観ることだな」
・・・合掌。(笑)
それからのことは、このブログに書いた通りです。
あの日の時点で想像した近未来の「闘病」する決意は見事に空振り、放射線治療とホルモン療法の副作用も普通の暮らしを妨げるほどのものはなく、乳がんステージ4なのにもかかわらずほとんど「闘病」もしないまま、月に一度の通院で事足りる「のら患者」として、茫々と月日を送る僥倖を得て今日に至ります。
あの日に私が想像した「東京オリンピック観戦」、、、運よくこの世を卒業せずに観戦できたとしても、その頃にはベッドから離れられない体となり、病床で横になりながらテレビで観ることが出来たらなら上出来だと思いました。
ところがどうでしょう、昨年私の目標「東京オリンピック2020」が1年延期となり、2021年に開催されると聞いた時、「ふぅうん、あ、そう、ま、この調子でいけば、観られるっしょ」です。
当初、私が乳がんステージ4だと告げた友人たちに「目指せ、東京オリンピックでいくわ」と伝えると、「そうだね、絶対、観られるよ」と励ましてくれていましたが、今ではその友人たちが「東京オリンピックじゃなくて、パリのオリンピックもその次も観られるんじゃ?」と笑いながら口を揃えて言います。(笑)
私自身も「そうかも?ひょっとしたらいけるかも?」などと、当初の悲愴な決意や有限な人生に対する敬虔な気持ちも忘れて思う始末です。
そんな浅はかな私が「東京オリンピック2020」の開会式を迎えて思うことは、2014年の3月時点の私がどれほど妄想を逞しくしても、2021年7月の今日の自分を見通すことが出来ないのだから、これからも先々のことを思い煩う愚を犯さず「今を生きよう」です。
死の渕を覗き込むような病を得て、紆余曲折を体験したのだから、せめて「今を生きる」という1点だけでも、病を得る以前より賢くなった自分でありたいと思います。
さてさて、ともあれ、オリンピック観戦、楽しみです。
煩雑な日常を生きていると、「勝敗」は常に曖昧模糊としています。
経済的に見れば勝者であっても、豊かな時間を過ごす人生においては敗者、などということもよくある話です。
だから、スポーツのように単純明快なルールがあり、純粋な「勝敗」が味わえることが、一種のファンタジーのようで私は魅かれるのでしょう。
長く心に期した「東京オリンピック」という数週間が現実のものとなったのですから、大いに「今を楽しむ」べしです。
(おしまい)
こんにちは!同じくステージ4、骨転移どんだけぇ〜(無数)のモノです。オリンピック開会式を、ど素人なのにあーでもないこーでもないなんて言いながら見られて、とっても感慨深かったです。大きな出来事って、良し悪しを越えて、たくさんの人それぞれのモノになるんですね。
またいつか「あの東京オリンピックの時は」って、今を思い出すときが来るんでしょうね。また次の開会式も、あーでもないこーでもない言いながら見たいです笑
のんびりと目指していきたいですね!
おお、まちさんも「パリオリンピック2024」を目指しますか。(笑)
乳がんステージ4のがん告知を受けた2014年3月時点で、2020年7月は遠かった、、、(涙)
でも、右足と左足を交互に前に出すことだけ考えて、どこまで歩けるかを考えずに歩き続けたら、、、たどり着きましたよ。(笑)
そして今では、このペースで歩くことが気に入っています。
次のオリンピックまで、どんな景色を目にすることになるのか、次のオリンピックの開会式もまた、今の流行が続いていて「変な多様性のごり押し」で、訳の分からない開会式になるのか、ほんとに楽しみです♪
その時もまた、まちさんの感想が聞きたいです。
ゆるゆると次を目指しましょうね。(笑)
いつも読み逃げしていましたが、お礼が伝えたくて書き込ませて頂きます。
東京オリンピック見られて、おめでとうございます!
私も小葉がんでリンパ転移無数ではありませんが多数なので限りなくお隣さんです。
希望も持てず不安のどん底にいましたが、そんな中ふるゆらさんのブログを拝見しました。
私にとっては一筋の光どころかストロボくらい強力な光で、本当に救われました。
風太君のかわいい写真も自然の美しい写真も私の感性にはぴったりで、毎日癒されます。
これからも楽しみにしています。
ありがとうございます^^
グランディさん、はじめまして&コメントありがとうございます。
風太と田舎ワールドを楽しんでいただけて嬉しいです♪
何にもない田舎に住み、血統書とは無縁の猫と暮らし、キングオブ凡人を自負する私がブログを書こうと思ったのは、こんな私の「がん体験」でも、誰か一人くらいは「役に立った」と思ってくださる奇特な人もいるだろうと、考えたからです。
そして、その奇特な人のお一人がグランディさんだったと。合掌。(笑)
東京オリンピック開催に合わせていただけたグランディさんのお言葉こそ、私の胸に燦然と輝く「まぁまぁよく頑張ったで賞」受賞のメダルです。
ほんとうにありがとうございます。
これからも「がんマラソンランナー」同士、のんびりと季節の移ろいを目に映る風景を楽しみながら進みましょうね♪
この記念すべき日に、ふるゆらさんがどんなメッセージを書いてくれるのか、ずっと楽しみにしていました。おめでとう! ここはゴールじゃなくて、目的地のひとつにすぎません。オリンピックを思いっきり楽しんで、みんなで次の目的地にむかいましょう。日々の道中を、風太くんと綴って
私たちに幸せを届けてください。
絵里さん、「祝辞」をありがとうございます。
東京オリンピックに出場されるアスリートの方以外で、お祝いの言葉を掛けていただけるのは私くらいじゃないでしょうか。(笑)
そう言ってくださる絵里さんともこのブログを通じて長いお付き合いです。
お互い「がんマラソンランナー」として、今日に辿り着けたことを感謝しつつ祝いましょう♪
私たちが歩み続けるのは、誰よりも速く、誰よりも強くなる必要はなく、歩みと止めるその時まで、誰よりも道程を楽しむことです。
これからも、のんびり行きましょうね。
….そうですね!!!
まずは 良かった!
おめでとうございます!
風太君、(そうさ、明るい陽射しを見て、明日があるさ!)
と、言ってますね!
ありがとうございます。
オリンピックの開会式を観ながら「ようやくたどり着いたなぁ」と、出場されるアスリートの方々とは違う意味で感無量でした。(笑)
たどり着けたんだから、あとは楽しむべし♪です。
始まったね!楽しもう!
ありがとうございます。
開会式を見ながら、「ほんとに、生きて、これを観ているんだなぁ」と、ちょっと信じられない気持ちになりました。
「生きてるだけで丸儲け」、私の人生、この言葉に尽きます。(笑)