「あの日」から8回目の「早春」です。 (nya.1566)

早春の河川敷

早春はいつも、私を「あの日」に誘います。 2021年2月12日

今日は旧暦の1月1日、元旦です。

やはり日本人にとって1年の始まりは「厳冬」より「早春」がふさわしいと思ってしまいます。

明確な「春夏秋冬」の四季がある島国に暮らす国民のDNAには、「1年の始まりは春でしょ」とナチュラルに刷り込まれていますし、同じ理由で、どれほど「グローバルスタンダード」ではないと言われ、不便を挙げたらキリがないと言われようと、卒業式と入学式の背景に、桜がなければならないと強く確信しています。(笑)

早春の河川敷

私が毎年太陽暦の元旦でご挨拶代わりにしている大伴家持の歌

新(あらた)しき 年の初めの初春(はつはる)の 今日降る雪の いやしけ吉事(よごと)

は、稀に旧正月と立春の日が重なる『朔旦立春(さくたんりっしゅん)』の年があり、とても珍しく縁起が良いということで詠まれた歌でもあるそうです。

前回の『朔旦立春(さくたんりっしゅん)』は1992年、次回は2038 年とのことなので、ほんとうに稀なんですね。

と、いうことで、今日が旧暦の元旦なら七草がゆを食べるのは2月18日、「春の七草」を揃えることも簡単そうです。

早春の河川敷

ともあれ、そんなこんなで2021年の立春も過ぎ、どんどん夜明けが早くなり、どんどん日暮れが遅くなり、長くなったお昼間の日差しはどんどん力強さを増していきます。

山の木々の色合いや、草原に広がる枯草の色は「大寒」の頃と何にも変わっていないけれど、「もうすぐそこに春が来ている」と思う心を通してみる風景には、確かに「春」を感じます。

そして、今は芽吹きの気配もない山の木々の梢が一斉に芽吹く時を思い、分厚い枯草を掻き分けて野の草花が芽吹く様を思う時、私は必ず「あの日」見た早春の風景を思い出します。

早春の河川敷

2014年2月、自分が乳がんではないかと思いながら病院に向かい、その行き帰りで目にした早春の風景。

乳がんの「針生検」の結果を待ちながら、どこか非現実的な気持ちを抱えて会社へ通い行き帰りで目にした早春の山の木々。

がん告知を受けて、天地がひっくり返るほど驚いているのか、案外冷静なのか、自分の心がまるで分からないまま運転して、真っ白な頭で呆然と見上げた早春の空。

早春の河川敷

今年も立春を過ぎ、目にした早春の風景は、きっちり「あの日」に誘ってくれました。

なんとまぁ、「8回目」です、びっくり。(笑)

その度に思うのです。

「何の根拠もないけれど、来年の早春の風景も見られるような気がする」(笑)

早春の河川敷

と、いうのは冗談で(うそです、ほんとにそう思います)、毎年早春の風景を見るたびに謙虚な気持ちになります。

「あの日」の私は、来年の木々や草花の芽吹きを穏やかな気持ちで見られたなら、これ以上ない幸運だと心底思っていました。

限られた時間を出来るだけ丁寧に暮らし、穏やかで豊かな時の流れを楽しみたいと思っていました。

早春の河川敷

ですから、「あの日」と同じ早春の風景を見るたびに、当たり前のように「それ以上」のことを望んでいる自分に愕然とするのです。

「キングオブ凡人」の私の、目下の悩みが「老後資金の不足」だったりするのです、、、慎ましく「あと何回、桜が見れるかな」と思っていた私が、厚かましくも「老後」、、、。

「私は十分に護られている。護られていることを知っているから、不安や心配を手離して、流されるだけ流されよう」と、つい最近固く心に誓ったのにコレ、、、。(笑)

いやはや、事程左様に、凡人の煩悩は尽きることなくあっという間に復活します。(嘆息)

早春の河川敷

つまり、「いつかどこかで、奇跡のようなことがおきて、大金が転がり込んできたりしないかな」などと煩悩の濁流にのまれている私が、「いやいやいやいや、乳癌ステージ4の私が今、こうして穏やかな暮らしをして、平凡たけど愛おしい日々を送っていることが既に奇跡だから」と正気に戻ることが出来るのは、「あの日」の早春の風景を思い出すお陰です。

ですから、今年で8回もの早春の風景を目にして思うことは、神さま仏さま守護天使さまご先祖さまたち、「今年も私の正気を取り戻させてくれてありがとう♪」「どうせまたすぐ、既に奇跡をいただいていることを忘れてアレコレ望むと思いますが、そこは一つ、大らかな心で笑って許してくださいね☆」です。

合掌。

(おしまい)

早春の河川敷
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「あの日」から8回目の「早春」です。 (nya.1566)” に対して10件のコメントがあります。

  1. 金太郎 より:

    8年経ちましたか、、、、、、、、、、、。
    乳がん初心者だった私が、こちらのブログに出会って、一気にnya.1から拝見させていただいた日々が蘇ります。心の指針となっていただいたことに心より感謝を。

    来年の今頃は「9年経ちましたか、、、、、、。」とコメントしましょう。

    1. ふるゆら より:

      はい、金太郎さんありがとうございます。

      早いもので7年が過ぎ、8回目の早春を楽しんでいます♪

      なんとまぁ、、、です。

      ブログを書き始めたのは、想定外の小康を保てていたからでしたが、それでも、こんなに長く穏やかな日々が続くなんて思ってもいませんでした。

      そう思うと、今の自分であることが「既に奇跡」なのだと、早春が巡る度に不思議の念に打たれます。

      今の私こそ「生きてるだけで丸儲け」そのものです。(笑)

      金太郎さんも、ですよね?

      お互いこれからも気負わず人生を楽しみましょう♪

  2. あべかわきなこ より:

    いつもふるゆらさんの美しい文章と気持ちのいい写真を楽しんでいます。
    私にガンが見つかったのも2014年の春でしたが、私は当時から全然殊勝な気持ちにならず、抗がん剤治療を理由に会社を割と休み、それでいて規則正しい生活に体調はむしろ悪くないため時間があって、わずかながら普通預金にほったらかしだった資金をネット銀行で10年満期、中途解約不可の定期預金にしたことを思い出しました。ポチッとするとき、一瞬「ちと図々しいかな?」とよぎりましたが、一つの勝負だと思ったものです。
    今の私は少々関節が痛むくらいで概ね健やか。一方の定期預金は、途中で繰り上げ償還となりました。この勝負、勝ったというのかどうなのか?
    また、楽しい文章を、例えば桜の便りなど、勝手に楽しみにしています。

    1. ふるゆら より:

      あべかわきなこさん、それはもう「勝ち」ましたね、ふっふっふっ♪

      がん告知後に「10年満期」を目指すあたりに、「強者」の臭いがプンプンです。(笑)

      では、2021年はお互いに小康を保って7年目を終え8年目に突入、、、ふっふっふっ、やりましたね☆

      この調子で更に10年後を迎えましょうね。

      1. あべかわきなこ より:

        迎えましょう!迎えますとも!!

        1. ふるゆら より:

          はいはい♪

          いくら「時代遅れ」と言われようと、昭和は「気合と根性」でサバイブです(笑)

  3. ともろー より:

    ふるゆらさん、風太さんおはようございます
    久々に暖かい日が続いて雪かきから解放されております

    私も流されるだけ流されてみようと思ってます。そこに良い風が吹くかも~なんて期待しながら(笑)

    1. ふるゆら より:

      トモローさん、こちらも明日の夜には雨が降るらしく、3月くらいの暖かさですよ。

      もちろん「雪かき」とは無縁の南国ですので、気持ちいいなぁ♪と伸びをするくらいのものですが。(笑)

      思えばトモローさんとのお付き合いも長くなりましたね。

      お互い「流され派」、のんびりいきましょう♪

      1. ともろー より:

        この春で術後まる4年になり5年生に進級ですよ~

        北海道でいつも季節を先取りできるのもふるゆらさんと風太さんのおかげです。ありがとうございます。
        お互いこれからもゆるーく活きたいですね

        1. ふるゆら より:

          おお、5年生おめでとうございます♡

          これから一足早く春を迎えますので、お楽しみに~♪

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