『上野千鶴子が聞く 小笠原先生、ひとりで家で死ねますか? 』を読みました③ (nya.147)
「在宅ひとり死」って実現可能なんですね。嬉しいです。 (2017年3月25日)
[amazonjs asin=”4022510587″ locale=”JP” title=”上野千鶴子が聞く 小笠原先生、ひとりで家で死ねますか?”]【目次】
はじめに
第1章 がんで死ぬのがいちばんですか
第2章 PPK(ピンピンコロリ)と逝けますか
第3章 老衰で死ぬのは幸せですか
第4章 認知症になっても、いつまで家で過ごせますか
第5章 延命装置をつけたまま家にいられますか
第6章看取りは家族の役割ですか
第7章 家族のいないわたしの看取りは誰に託しますか
第8章 お金はいくらあればよいですか
第9章 離れていても在宅医療を受けられますか
――IT機器を駆使した在宅緩和ケアはこうなる
第10章 送られる側、送る側の心がまえは?
巻末に上野・小笠原対談 あとがき
上野千鶴子が聞く 小笠原先生、ひとりで家で死ねますか? 単行本 – 2013/2/20
さてさて、いつもながらに「前置きが長い」私ですが(笑)、ついに著書の内容に触れたいと思います。
まず、第1章で『 がんで死ぬのがいちばんですか』と上野千鶴子さんが小笠原先生にズバッと尋ねています。
小笠原先生の返答は
在宅ホスピス緩和ケアのプロフェッショナルのチームがついていれば、がん死がベストだと思います。私が自分で選べるとしたら、やっぱりがん死でしょう。
なぜならがん死は亡くなるまでに一定の時間が残され、その時間を「別れの準備」に使えるからです。・・・・・遠からぬ死を覚悟することで、いま生かされている命の意味を知ったと語る人は少なくありません。・・・・・彼らはこの世の命を終えるその日まで、安らか・大らか・朗らかに日々を過ごし、安心して旅立っていきます。そのような死のあり方を、私は「希望死・満足死・納得死」の3点セットと呼びます。・・・・・がん死はこの3つがセットでそろいやすいということです。
です。そうじゃないかと思っていたのですが、数多くの「在宅での看取り」を実践しておられる医師から言われると「やっぱり」と実感します。
第一章はその他にも
Q3 がんの治療の場の選択肢としては、病院、ホスピス(緩和ケア病棟)、在宅が挙げられます。治療に専念する間は病院を選択するにしても、末期がんの場合はどこがいいですか。その理由はなんですか。
A3 病院よりもホスピスの方がいいと思いますが、在宅療養がベストだと思います。自宅は自由な空間であり、癒しの空間であるからです。そのような場では社会的疼痛は起こりにくく、スピリチュアルペインはまずおこりません。・・・・・
Q8 退院して帰る家にはわたし以外、誰もいません。末期がんの状態で、本当に、自宅で、ひとりで過ごせるでしょうか。過ごせるとしたら、それを可能にする条件を教えてください。
A8 本人自身に家に帰りたい、在宅療養したい、という意思があるかどうかがまず重要です。・・・・・大きくいって以下3点をクリアできれば、現実的に可能になると思います。ひとつめは、痛みのコントロールです。・・・・・ふたつめは、暮らしが支えられることです。・・・・・最後は患者さん本人の意思を家族や親族が受け入れ、それがかなえられるような協力が得られることです。・・・・・
Q10 出来るだけ家にいたい気持ちはやまやまですが、ひとりでいるのは不安です。状態が急変した時にひとりきりだったら、どうすればいいでしょう。
A10 ・・・・・2012年4月の介護保険法改正で、ベッドサイドのテレビ電話や首から下げたペンダント式の通報機に触れるだけで24時間対応の訪問介護ステーションにつながり、ヘルパーと患者のお互いの顔を見ながら話せるシステムが使えるようになりました。・・・・・
Q12 24時間、巡回型の訪問介護があれば安心ですが、夜間の訪問介護や看護をしてくれる事業所がない地域もあります。夜間の痛みや急変が心配です。
A12 ・・・・・不安で眠れないという事態はできるだけ避けなければなりません。・・・・・がん性疼痛を和らげる効果が期待できるアタラックスPやサイレースなどの精神安定剤を使って、夜間ぐっすり眠りにつくことで、痛みを感じないようにする夜間セデーションという方法です。・・・・・誤解を招くといけませんので、ここで「夜間セデーション」と病院で時々行われる「セデーション(持続鎮静)」の説明をしておきましょう。後者の、いわゆる「セデーション」とは、耐え難い苦しみから逃れるため、通常は患者さんが亡くなられるまでずっと眠らせておく方法です。多くの場合、開始した時点で今生のお別れとなるため、患者さんや家族にはつらい選択となるのに対し、前者の「夜間セデーション」は夜間の痛みや不安を取り除くために夜の間だけ薬の力を借りて眠ってもらう方法であり、朝になれば目が覚めてまた新しい一日が始まります。
Q16 がん末期で寝たきりの状態になれば、要介護5に該当すると思いますが、現在(2012年)の利用料の上限である約36万円で本当に独居の看取りができるのでしょうか。
A16 条件次第ですが、多くの人はできます。実際、私たちの在宅ホスピス緩和ケアチームでは、その金額の枠内で10人以上の独居のがん末期の人を在宅で看取ってきました。制度の補助をめいいっぱい利用しやすいという意味では、がん患者はとても恵まれているといえるでしょう。というのも、訪問看護師が毎日入ってもその分は医療保険で対応できるため、介護保険のサービス枠をそれ以外のサービス利用に回せるからです。がん末期の人の多くは現行の介護保険制度の限度額で問題ないという実感を得ています。
(注:「・・・・・」は私が省略したものです。著書の本意が歪んで伝わっているかもしれません。ご興味のある方は、ぜひ著書の原文を省略なしで読んでください。)
と続きます。
ほんとうに、本当に「これ」が知りたいことでした。
その他にも排泄の負担を「費用の面」でも軽くする方法や、救急車を呼んでしまっても「乗らない」方法など、タメになる情報ばかりでした。
特に印象に残った言葉は、
がん治療の目的を最終的には本人のよりよい生を支える、という地点におく場合、トータルに見れば抗がん剤を使うことによってそれを低下させる場合もあることを知っておいていただきたいからです。
抗がん剤治療を始めるか否かのインフォームドコンセント(説明にもとづく同意)のための説明を受ける際は、医師に「私のがんに抗がん剤治療をした場合、何%助かりますか」「5年生存率は何%ですか」と率直に質問をすることをおすすめします。
と、小笠原先生も終末期にまで抗がん剤治療をすることに疑義を持たれていることと、
悪くなる時はへんな言い方ですが「一気に」です。つらい状態がだらだらと長引くことはありません。私の印象では、急変から3~10日間でPPK(ピンピンコロリ)のイメージに限りなく近い状態で旅立っていかれるケースがほとんどです。
急変以降の時間を看取り期間と考えれば、3時間おきに1日8回ヘルパーに入ってもらったとしても10日間で約30万円ということです。介護保険をオーバーした分が自費負担となります。
と、PPKでリーズナブルな最終盤を「夢見てもいいんじゃないか」と思えたことです。
第1章がこれで、著書は第10章まであるのですから、頼もしいかぎりです。(笑)
有益な情報がてんこ盛りですので、今日は第1章で燃え尽きました。(笑)
また明日、です。
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次は
『上野千鶴子が聞く 小笠原先生、ひとりで家で死ねますか? 』を読みました④ (nya.148)
です。
お疲れさまです!
興味深い本の紹介ありがとうございます。
一番良い時期に病院生活となります(笑)少しこの機会を借りてのんびりしようかな。読みたい本持ち込んで読書週間としますね~
ほんとに、「目に映るすべてのことがメッセージ」♪です。
「ともろー」さんの人生に必要な時間をいただいたのだと、
後になって必ず神さまに感謝することがあると思いますよ。