乳がんステージ4のがん告知から8年、「久しぶり」にがんの勉強をする (nya.2028)
不勉強でいられる私は果報者です。 (2022年5月20日)
思えば8年前、乳がんステージ4のがん告知を受け、がん転移で真っ黒のPET/CTの画像を見た時は、がんの知識を出来るだけ収集しようと、ネット空間をいつまでもいつまでも徘徊しました。
時系列に書いたブログでも、その時に得た情報や知識の中から自分が有用だと思ったものを採り上げて紹介しましたが、それはそれは熱心に「この世からの卒業」という人の生涯における究極の卒論テーマに取り組んだのです。
んがしかし、そこは、ホレ、飽き性の私のことですから、たとえ自分の命のかかったテーマであっても、乳がんステージ4という死の渕を覗き込むような、人生最大の青天の霹靂的大病を宣告されたとしても、急に「根気強く、勤勉」な人間になったりはしない訳です。(笑)
がんの検査を受けた2014年2月から、多発骨転移のがん告知を受けた2014年3月を経て、乳がんステージ4の生存率やら、ホルモン療法、放射線治療、腫瘍マーカー、食生活、そもそも「がんとは何か」、終末医療はどのようなものがあるのか、延命治療拒否、がん治療にかかる費用などなど、わが身に降りかかった火の粉を払う勢いで貪欲に学んだ挙句、2014年8月頃には「もう、大体分かった、お腹いっぱい、ゲホッ」となった次第です。
つまり、飽き性の私の集中力が尽きるのは早く、実に半年間程度の勉強で「飽きたな」と思ったのでした。合掌。
まぁ、大学受験の時も「これから追い込み」という受験3か月前になって、「飽きた」という理由で受験勉強を放り出し、「飽きたからもうやらないけど、ガミガミ言わないでください」と、親にも宣言した私ですから、驚くには値しませんね。(笑)
今振り返ると、がんの勉強を「飽きた」と思えること自体が果報者の証左であり、乳がんステージ4のがん告知を受ける前も、放射線治療とホルモン療法を始めた後も、体調が「低空飛行」ながら安定し、背中の痛みを長年抱えながらもフルタイムの仕事を継続できる程度だったからこそ「飽きる」ことが出来たのです。
また、「乳がんステージ4」「末期がん患者」というおどろおどろしい言葉の響きとは裏腹に、放射線治療を終えてホルモン療法のみになって以降は、4週に1回の通院と毎朝のタモキシフェン1錠の服用以外は「野放し」で、当初の「坂道を転がり落ちるように病状悪化」という想定から大きく外れた「のら患者」のポジションに落ち着いたこともあって「飽きる」余裕が生まれたのです。
そして、2015年7月、人生で2番目の衝撃的な青天の霹靂「骨転移無数、リンパ節転移無数から骨転移4か所になる」という事態が勃発したことで、当初「あ?こりゃ死ぬな」と思っていた私をして「あ?こりゃすぐには死なないかも?」という手のひら返しを可能にし、現在の2022年5月に至るまでの「がんの不勉強」を決定付けました。
そんな私が「久しぶり」にがんの勉強とはこれいかに、、、。
まずお断りしておきますが、私の病状に特に変化はありませんのでご安心ください。
結論から申し上げますと、プータローである私は、有り余る可処分時間をユーチューブやアニメに費やすというけしからん日々を送っているのですが(笑)、先日、ユーチューブのおすすめ動画に『がん患者さんはどうやって死ぬのか?実際の死因を医師が解説』というタイトルが突如現れたので見た、のが理由です。
この話の「ミソ」は、有り余る時間をユーチューブを徘徊して過ごしていながら、がん関連のタイトルが「突如」現れた点です。
それは、ユーチューブの「おすすめ動画」が、ユーザーの嗜好に合わせたアルゴリズムによって現れるにもかかわらず、私ががん関連の動画にほとんど「無関心」であったということ、「乳がん」カテゴリーのブログを毎日アップして2000回を達成しているにもかかわらず、がんに関する検索は殆どしてこなかったことを意味します。(爆笑)
そんなこんなで、この度は珍しく『がん患者さんはどうやって死ぬのか?実際の死因を医師が解説』というキャッチーなタイトルに魅かれ、動画を見てみると、「ふむふむ、なかなか好感が持てる分かりやすさかな」と感心しましたので、ご紹介することにしました。
言い訳ですが、私が書籍やユーチューブ動画を含め「がん関連」のメディアに積極的に近付こうとしないのには訳があり、それはこのカテゴリーの情報があまりにカオス、あまりに玉石混交であるためです。
「○○をすればがんが治る」という分かりやすく怪しさ満点のものなら、最初からスルー出来ますが、情報の真偽を見極めるためには、情報発信者の人物背景、情報の論拠となるデータの可否、商業ベースなのか民間医療なのかなどなど、思いつく限りのエビデンスを求めてダブルチェックしなければ信用できないため、はっきりいって「面倒くさい」のです。
それに、これは8年前に愕然として知ったことですが、「がん」という超が付くほど高名な病気にもかかわらず、「がん」という病気についての解明がが確定していないのです。
「え?そんなことってある?」と思いました。
たとえば私の場合、多発骨転移の浸潤性小葉癌であり、骨転移無数、リンパ節転移無数、PET/CTの画像ががん転移で真っ黒だった訳ですので、当然、「転移をするがん細胞としないがん細胞の違い」が知りたいと思いました。
ところが、「がん転移」の機序について解明しておらず、、、つまり、「普通のがん細胞だったものが成長するにつれて転移する機能を獲得して転移を始める」のか「転移するがん細胞は誕生時点から転移する機能を持ち合わせているのか」も分かっていないのでした。
この事実を知った時、私は、この世に発信されているがんの情報のすべてが、それぞれの立場からの医師の「解釈」であることを肝に銘じ、ますます、何を信じていいのか分からないことになったのです。
とは言え、医療の進歩は日進月歩であり、8年前には存在していなかった新薬や「有効性」が日々開発されています。
現役バリバリの「末期がん患者(のら患者)」である私が、8年前の知識からアップデートしないままで良い筈がありません。
せっかく、「野生の勘」で「これはなかなかイケる」と思えるユーチューブ動画をおすすめされたのですから、この機会にお勉強することにしました。
動画の発信者は、
佐藤典宏
産業医科大学第1外科講師、外来医長。1968年、福岡県生まれ。93年、九州大学医学部卒業。外科医として研修後、九州大学大学院へ入学。学位(医学博士)を取得後、2001年から米国ジョンズ・ホプキンズ大学医学部に留学し、がんの分子生物学を研究。膵臓がんを中心に1000例以上の外科手術を経験し、日本外科学会、日本消化器外科学会専門医・指導医、がん治療認定医の資格を取得。がんの患者に役立つ情報を提供するため、「『がん』をあきらめない人の情報ブログ」(https://satonorihiro.xyz/)、
公式YouTube「がん情報チャンネル・外科医 佐藤のりひろ」(https://www.youtube.com/channel/UCTj4HCD5jWGMNUJhv1RIweQ)を開設中。
『ガンとわかったら読む本』(マキノ出版)など、著書も多数。
という方です。
私見ですが、話しておられる内容も納得できると思えますし、話し方も好感が持てる先生です。
私ほど「不勉強」な方は、なかなかおられないと思いますが(笑)、情報収集の一助となれば幸いです。合掌。
(おしまい)
先ずは、8年目!おめでとうございます。ほんとに嬉しいです。
生身の人間は色々な治療を受けられ、病気になっても、何とか希望を
持てるようになってきましたね。他の??は別として。
youtubeの出現も玉石混交とは言え、広く知識を持てるようになり
意見を色々知ることは、これも世代前の人が聞いたら驚きですね
この動画を目にした方々も、私も含め、きっと参考にされたと思います。
sizuさん、ありがとうございます。
ほんとうに、昔「ネットの出現は革命だ」と言われてもピンとこなかった言葉が、今となっては「ほんとにね」としみじみ痛感します。
ネットの普及によって「知」に対するアクセスが劇的に変化しました。
物理的な距離や貧富の差という障壁が取り払われ、僻地の田舎に住む貧乏な私でも、「知る」ことにおいては平等なんですから、スゴイ時代になったものです。
これが当たり前となった時代に成長する子供たちのことを思うと、私たち世代からは考えられないくらい多くの有能な人材が世界中の至る所から現れるのだろうと思いますし、様々な「限界」を突破してくれることと思います。