分子標的薬「ベージニオ」の日々 ①これまでの経緯と始めることになった訳(nya.2546)

秋の草原 9月

分子標的薬「ベージニオ」正直、軽い気持ちで始めました。 (2023年10月20日)

久しぶりの長文レポートです。

久しぶりの「がんブログ」らしい内容です。(笑)

2014年3月に「乳がんステージ4、浸潤性小葉癌」のがん告知を受けて「あ?こりゃ死ぬな」と思ってからの経過が珍しいことになったので、時系列でお伝えしようと思いブログを始めたのが2016年の10月、そして今は2023年の10月です。

なんとまぁ、我ながら驚くことに7年の歳月をサバイブしてブログを続けています。

最初の方こそ、がんブログらしい内容だったものの、「僥倖に恵まれ小康を得て、現状維持」という輝かしい日々をGETした結果、残されたものは「お一人さまの田舎者&凡人である私が、自然に囲まれて猫と過ごす平々凡々な暮らし」という現実であり、ブログ読者の方々へお伝えするべきネタなどすぐに尽きてしまいました。(笑)

まぁ、乳がんステージ4、多発骨転移多発リンパ節転移でPET/CTの画像が、がん転移で真っ黒だった人間が、何年も平凡に生きているという事実が「価値があるっちゃ価値があるでしょ」と、すぐに開き直り、その後も「がんとはまったく関係ない」ブログ内容をアップし続けて7年経ちました。(笑)

秋の草原 9月

ま、そんなことはどーでもいいですね。

『分子標的薬「ベージニオ」を服用したらどんなことになるのかだけが知りたいんじゃ、そのことをはよ話さんかい』というブーイングが聞こえるようです。ははは。

「では、本題に入ります」と言いたいところですが、その前に、私のがん治療の経緯を「軽く」触れておきます。

んがしかし、何しろ10年近くサバイブしているものだからこれが全然「軽く」ない、、、という訳で、「コレ、いらんわ」と思う方は本題の【①分子標的薬「ベージニオ」を始めることになった経緯】へジャンプしてください。合掌。

秋の草原 9月

まずは、現在まで私が経験したがん治療を時系列でご説明します。

●2014年3月 乳がん浸潤性小葉癌 骨転移無数、リンパ節転移無数のステージ4と診断 放射線治療、ホルモン療法(リュープリン、タモキシフェン)開始

●2014年4月 腫瘍マーカーCEA(基準値5.0以下)4.0、腫瘍マーカーCA15-3(基準値27.0以下)50.9 ※以後、腫瘍マーカーCA15-3を指標にする

●2014年7月 腫瘍マーカーCA15-3(基準値27.0以下)21.2 ※以後2023年10月まで基準値内を継続

●2015年6月 PET/CTの結果、「骨転移無数、リンパ節転移無数」から骨転移4か所に減少 ※以後2019年2月までこの状態をキープする

●2019年2月 PET/CTの結果、骨転移3ヵ所に「高集積あり活性が高い」と診断

●2019年4月 骨転移3ヵ所に放射線治療

●2019年8月 PET/CTの結果、骨転移が消失

・異常集積はほぼ消失しており治療効果と考えます。

・その他の多発骨転移巣には再燃を示唆するような異常集積なし。

・新たな転移を疑う異常集積も指摘できません。

●2019年10月 腫瘍マーカーCA15-3(基準値27.0以下)10.2

●2019年11月 腫瘍マーカーNCC-ST439(基準値:50歳以上の女性:4.5未満)150

●2020年4月 腫瘍マーカーNCC-ST439(基準値:50歳以上の女性:4.5未満)130であり、2019.11=150、2019.12=150、2020.01=180、2020.04=130であることから、主治医にPET/CTの受診を勧められる。しかし腫瘍マーカーNCC-ST439(基準値4.5未満)は、常に100を超えているためそれが異常値なのか、私にとっての平均アベレージなのか判断が付かず、且つ、それまで指標としていた腫瘍マーカーCA15-3の数値に変動が見られないことから、次の予定にしている2020年8月のPET/CTまで推移を見守ることにする。

※腫瘍マーカーNCC-ST439とは※

NCC-ST-439はさまざまな部位のがんで上昇することが多い一方、偽陽性(実際にはがんがないのに数値が上昇すること)が少ないという特徴がある腫瘍マーカーです。この特徴を生かし、他の腫瘍マーカーと一緒に測定することで、がんの診断に役立ちます。

医療の現場でNCC-ST-439は、特に乳がんの診察で有用性が注目されています。乳がんの転移や再発の際には上昇することが多く、また、手術後の経過をみる指標としも有用です

人によってはがんや他の病気がない場合でも20~30U/ml程度の数値になることがあるため、この項目だけでがんがあると断定するのは大変リスクがあります。

https://ganblog.jp/bloodtest-items-numbers/nccst439/

●2020年8月 腫瘍マーカーCA15-3(基準値27.0以下)28.8、腫瘍マーカーNCC-ST439(基準値:50歳以上の女性:4.5未満)360

●2020年8月 PET/CTの結果、がん転移が再燃

・左乳癌にFDG高集積(SUVmax:5.1)あり再燃を疑う。

・右鎖骨、右第5肋骨、TH11,12,L1,2,両腸骨の骨転移に集積亢進あり再燃と思われる

・その他骨転移巣には再燃を示唆するような異常集積なし。

・新たな転移を疑う異常集積も指摘できません。

●2020年8月 ホルモン療法の薬をタモキシフェンからフェソロデックスに変更

●2021年6月 腫瘍マーカーCA15-3(基準値25.0以下)7.9、腫瘍マーカーNCC-ST439(基準値4.5未満)34。※以後、腫瘍マーカーNCC-ST439(基準値4.5未満)の数値が30代で安定、※以後、腫瘍マーカーNCC-ST439(基準値4.5未満)を指標にする

●2023年5月 腫瘍マーカーCA15-3(基準値25.0以下)11.5、腫瘍マーカーNCC-ST439(基準値4.5未満)120となり、分子標的薬「ベージニオ」をフェソロデックスと併用する形で服用を開始

●2023年10月 腫瘍マーカーCA15-3(基準値25.0以下)13.7、腫瘍マーカーNCC-ST439(基準値4.5未満)35

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【本題①分子標的薬「ベージニオ」を始めることになった経緯】

ふぅぅぅぅ、長かった、、、、では、本題に入ります。

時系列を読み飛ばさなかった方はご理解いただいたかと思いますが、簡潔にまとめるなら、2020年8月にがん転移が再燃した時に指標にした腫瘍マーカーNCC-ST439(基準値4.5未満)が、2023年に入って微増傾向となり、5月の血液検査では「120」まで跳ね上がったので、分子標的薬「ベージニオ」の投薬を始めることになったという次第です。

腫瘍マーカーNCC-ST439(基準値4.5未満)については、2014年3月のがん告知以来うまくがん転移を抑制してくれていたタモキシフェンの服用が6年にも及び、2019年2月にはPET/CTの結果、骨転移3ヵ所に「高集積あり活性が高い」と診断を受けたため、同4月に放射線治療を受けたこともあって、「はて?そろそろタモキシフェンの薬効が下がったのでは?」と疑った医者が、2019年8月に新たに指標にした腫瘍マーカーです。

果たして2019年8月に腫瘍マーカーNCC-ST439(基準値4.5未満)を検査項目に加えたところ、その数値は、初回から150という高い数値を叩き出していました。

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これには戸惑いました。

腫瘍マーカーNCC-ST439(基準値4.5未満)「150」があまりにも基準値からかけ離れた数値である一方、それまでずっと指標にしていた腫瘍マーカーCA15-3(基準値25.0以下)は「10.2」で、楽々基準内に収まっている数値の対比から、「どう考えるべきなのか分からない」という事態に陥りました。

その後、腫瘍マーカーNCC-ST439(基準値4.5未満)は、2020年8月のPET/CTでがん転移の再燃の診断を受ける頃には「最高値443」まで上昇したことから、以後、私のがん転移の活性化に敏感に反応するのは腫瘍マーカーCA15-3(基準値25.0以下)ではなく腫瘍マーカーNCC-ST439(基準値4.5未満)の方なのだろうという結論に至りました。

そして、2020年8月に、薬効が衰えたと思われるタモキシフェンから新たにフェソロデックス筋注に変更した結果、腫瘍マーカーNCC-ST439(基準値4.5未満)はスルスルと下がり始め、2021年6月以降は30代で安定するようになったことから、「私なりの基準値のようなもの」は30代と考えるようになりました。

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、、、で、新たに指標にした腫瘍マーカーNCC-ST439(基準値4.5未満)が、1年以上30代で安定していたにもかかわらず、この度2023年5月「120」にまで上昇し、2020年8月から始めたフェソロデックスに変更して2年半経過し、薬効が下がるタイミングとも考えられることから、分子標的薬「ベージニオ」の登場となったのです。

この決断をした時から今現在まで、「がん転移が再度再燃した」という根拠がある訳ではありません。

ただ、腫瘍マーカーNCC-ST439(基準値4.5未満)の数値が上昇し続けている以上、後手に回るよりは、先手を打って分子標的薬を開始し、がん細胞を抑制した方が得策だろうと考えてのことです。

分子標的薬については、私が2014年3月のがん治療を開始した当初から「抗がん剤治療はしたくない」ことを主治医へ伝えており、以前からフェソロデックスの薬効に衰えが見え始めたら、分子標的薬で対処しようと、話し合っていたため、すんなりと「んじゃ、それで」ということになりました。

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骨転移乳がんの分子標的薬の代表的なものとしては、他に「ランマーク」「イブランス」がありますが、私の医者は「ベージニオ」推しで、それぞれの薬効と副作用の一長一短の説明を受けましたが、「ベージニオ」の方が後発の薬とのことでしたので、深く考えずに薬剤開発の日進月歩を信じることしました。

分子標的薬「ベージニオ」が作用する機序は、「文系脳」+「アラフィフ」の私にとって、今もってチンプンカンプンなのですが(汗)、分子標的薬が『病気の原因となっているタンパク質などの特定の分子にだけ作用するように設計された治療薬』であることは、その名前から理解しています。(笑)

従来の抗がん剤が、標的があるわけではなく、いわば毒をもってがん細胞の分裂・増殖の過程に直接作用して殺すという細胞毒性のものであるのに対し、分子標的薬は、「はじめに標的ありき」で開発され、がん細胞に特徴的な分子を標的に作られています。

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私が治療当初から抗がん剤治療を拒んでいたのはこの点であり、がん細胞が減り、いくばくか寿命が延びたとしても、その間の生きることが苦しいばかりで楽しくならないのなら、それに耐えてまで生に執着する動機が私には無いのです。

生きていれば楽しいことばかりじゃないことは、半世紀以上この世に滞在している私も身に沁みて理解していますが、「生きている間は、根性で、生きていることを楽しみ笑ってやる」という強い信念を持って生きています。

ですから、抗がん剤治療を受けて体力と同時に精神体力まで削られて、「生きることを楽しもう」と思う意志が持てなくなることを私は恐れます。

「延命治療拒否」の書面も用意していますし、1分1秒でも長く生きることよりも、楽しく生きて楽にこの世を卒業することを私は望みます。

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、、、で、分子標的薬「ベージニオ」を始めた結果ですが、私はタモキシフェン、フェソロデックス、ベージニオと3回連続で「神さまの領域の賭け」に勝ち、今回もまた、見事に腫瘍マーカーの数値を下げる僥倖に恵まれました。パチパチパチ。

いやぁ、我ながら強運、我ながらダイハードな奴です。(笑)

ただし、抗がん剤よりもいくらか軽いとはいえ、分子標的薬にも様々な副作用があり、私が守りたいと願っている「普通の暮らし」を続けるために、青息吐息で酷暑+残暑をサバイブし、今現在も試行錯誤の日々です。

とはいえ、いろいろな不具合はあるものの、ベッドに縛り付けられることなく家政婦業をこなし、愛猫風太との散歩も出来る程度のダメージですので、まずはご安心ください。

さてさて、【分子標的薬「ベージニオ」の日々 ①これまでの経緯と始めることになった訳】についてのレポートは以上となります。

来週は、【分子標的薬「ベージニオ」の日々 ②副作用 下痢と浮腫みの狭間で右往左往する】をレポートする予定です。

(おしまい)

秋の草原 9月

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