分子標的薬「ベージニオ」の日々 ②副作用 下痢と浮腫みの狭間で右往左往する (nya.2553)

10月上旬 秋の草原

ええとたぶん、私ががん治療で初めて経験する本格的な副作用です。 (2023年10月27日)

このブログは7年前、私自身のがんの治療で試行錯誤した実体験と感想をお伝えすることで、同病で迷っておられる方やその方の親しい方々へ、何かしらのお手伝いになるかもしれないと思い、飾らず盛らず「等身大」のレポートをやろうと思って始めました。

誰だってがんの治療は初めてですし、その中で求められる多くの決断の一つ一つが、自分の生死に直結していると思えば、一歩踏み出す度に勇気を掻き集めることになります。

そんな時、知りたいのは既に自分と同じ治療を経験した諸先輩方の率直な感想です。

医者や治療パンフレットから得られる「最大公約数」的なガイダンスはもう結構、「で?実際、どうなの?」と思うのが人情です。

私自身、ネットで多くの諸先輩方の体験談を有難く拝読し、「ふむふむ、へぇぇぇ、ほぉぉぉ」と、実際に体験された方の言葉は素直に腑に落ちましたし、心に響き大いに助けられました。

「貴重な体験談、誠にもってかたじけない」と姿勢を正して何度も心の中でお礼を言いました。

秋の草原 10月上旬

ですので、私のブログも出来るだけリアルタイムで等身大のレポートしようと思っているのですが、今回の分子標的薬「ベージニオ」の体験は、5月のGW明けに投薬を開始したにもかかわらず、報告は秋になってしまいました。

というのもこの分子標的薬「ベージニオ」なる輩、なかなか手強い相手でして、リアルタイムでレポートをまとめることの難しい難敵です。

今現在の私の通院は一ヶ月単位で、1週目に採血、2週目に採血の結果と腫瘍マーカーの数値が出るのを待って診察、その後フェソロデックス筋注をして分子標的薬「ベージニオ」の処方を受け取るというルーティンなのですが、いろいろな副作用があるため、「夏休みの理科の実験」よろしく、一月単位で、薬を足したり引いたり掛けたり割ったりして加減乗除を繰り返してベストバランスを探っている状況です。

ブログ読者の方々が求めておられるのは「レポート」であって「実況中継」ではないだろうと思い、ある程度事態が落ち着くまで待った結果、「今は、もう、秋♬」となった次第です。(笑)

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あ?今回も本題に入る前置きが長すぎますね。(笑)

それでは、【本題 分子標的薬「ベージニオ」の日々 ②副作用 下痢と浮腫みの狭間で右往左往する】の巻をレポートします。

まず大前提として、私は有り難いことに3回連続「神さまの領域の博打」に勝つという僥倖を得ており、腫瘍マーカーNCC-ST439(基準値4.5未満)は、分子標的薬「ベージニオ」の投薬開始の2023年5月の「120」から、現在の2023年10月に「35」にまで下がっています。

タモキシフェンの時も、フェソロデックス筋注の時も、今回の分子標的薬「ベージニオ」も、不謹慎な表現かもしれませんが、投薬を開始すれば腫瘍マーカーの数値は「面白いようにスルスルと下がる」ので、主治医と私は毎月「ええと、順調過ぎないか?」と生暖かい笑顔を交わしています。

ですので、主たる目的は既に果たされており、その点の心配は脇に置いて、薬の副作用による弊害を軽減してQOL(クオリティ オブ ライフ=「生活の質」)を改善する方向に取り組んでいます。

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分子標的薬「ベージニオ」の投薬を開始する時点で、医者から予想される副作用として伝えられたのは、大きく4点です。

1. 大多数の人がお腹を下すが、個人差はあるものの、一定の期間が経過したら症状は落ち着く

2. 間質性肺炎になる人が少数ながらいて、これは重症化する病気なので注意すること

3. 脱毛する人がいるがウィッグが必要になるほどではない

4. グレープフルーツ、グレープフルーツジュースを避ける

1.に関しては、しばらく辛抱して改善するのであれば、プータロー生活を送る私には大きな支障にならないだろうし、2.と4.は、「注意します」以外にないし、3.に関しては「神さまお願いします」と祈る他ありません。

この時点で私にできることは「はぁ、そうですか」と頷くことだけなので、そうしました。

帰宅し、念のためにグーグル先生に尋ねてみたところ、

分子標的薬「ベージニオ」の主な副作用

下痢(81.3%)、好中球減少症(41.3%)、感染症(39.1%)、悪心(38.5%)、嘔吐(28.4%)、貧血(28.4%)※承認時 https://oncolo.jp/ct/abemaciclib

とのことでした。

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、、、で以下が、私の実体験です。

下痢(81.3%)に関しては、投薬開始後1週間後あたりから症状が現れるとパンフレットに書いてありましたが、その通りでした。

んがしかし、私の場合、通常の下痢(81.3%)の範囲に収まるものではなく、重度の下痢(7.5% )にカテゴライズされるものでした。

1日に3回程度と回数は多くなかったものの、固形物を全く含まない完全な「水様便」、いわゆる水下痢が毎日欠かさず続きました。

普通の下痢と異なるのは、下痢特有のお腹が渋ったり見悶えるような腹痛が全く伴わない点です。

そのことには功罪があり、腹痛がない分体力が奪われないのは良いのですが、前兆がないため「催したら、全速力でトイレに駆け込む」ことを求められ、生活圏が「催したら、全速力でトイレに駆け込む」ことを可能とする距離に限定されました。(笑)

平均的に1日に3回、多い日は5回、時折り10回を超える日が月一程度、「トイレに駆け込む」必要があるのはとても不便なので、何とかその出現の規則性を見出して、生活の中のルーティンとしてしまいたかったのですが、残念なことに規則性はありませんでした。

また、1日に10回以上の水下痢となると、アルカリ性の腸液(消化液)をたくさん含んでいることから、周囲の皮膚を刺激して傷めるらしく、かなりヒリヒリします。

最初にそうなった時「翌日もこの回数なら痛くて死ぬ」と考えた私は、「いつ催すか分からない」状態の中、決死の覚悟で近所のドラッグストアにベビー用のワセリンを買いに走りました。(笑)

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プータロー生活で、本当に助かりました。(笑)

もちろん、下痢止めの薬(ロペラミド塩酸塩1mg)も、分子標的薬「ベージニオ」と同時に処方され、「下痢が酷い時や、外出の予定に合わせて飲んでくださいね」と渡されています。

「んじゃ、それ飲んだらええやん」という話ですが、私の体質なのか下痢止め飲むと「むっちゃ浮腫むんですけど(嘆息)」問題が浮上しました。

多少の浮腫みなら私も大人ですから我慢もするのですが、「むっちゃ浮腫む」ため、生活に支障が出るレベルなのです。

手足は多少浮腫む程度なのですが、顔がパンパンに浮腫みました。

大酒のみの私が、二日酔いになるくらいに痛飲した翌朝以上に浮腫みます。(笑)

特に目蓋が出っ張るくらいに浮腫み、午前中は、倦怠感も酷い上に、目蓋に力を入れて目を開けていることに必死になる有様です。

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いくら私がプータローでも、午前中は使い物になりません。

そして、下痢止めに即効性はなく、水下痢が酷い時に飲んでもすぐには止まりませんし、しばらくして水下痢が止まったとしても、それが下痢止めが効いた為なのか「止まるべくして止まったのか」の判別がつきません。

その上、下痢止めを飲んだからと言って固形物の全くない水下痢が柔らかい便に改善されるようなこともなく、薬効が切れると、きっちり水下痢が再開します。

はい、そうです、悩みどころですね。

水下痢はエマージェンシーを引き起こすものの、1日に3回で腹痛が伴わないのに対して、下痢止めを飲むと「むっちゃ浮腫んで」体力気力が奪われるのならば、外出に合わせて前夜に下痢止めを飲んで安全対策にする以外は「飲みたくない」という結論に達しました。

私は、生活圏が「催したら、全速力でトイレに駆け込む」ことを受け入れ、医者の言う『一定の期間が経過すると症状が落ち着く』という言葉を頼りに、その時が来るのを待つことにしました。

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んがしかし、結果として、私の水下痢は一向に落ち着くことはなく、別の大問題「貧血」対策が浮上して、そのために下痢止めを毎日飲んで、「完全に水下痢を止めてしまう作戦」を開始する8月まで続きました。

浮腫み、水下痢の対策として、7月の診察時に【ツムラ柴苓湯(サイレイトウ) 3.0 g 「114」(効果効能:吐き気、食欲不振、のどのかわき、排尿が少ないなどの次の諸症 水瀉性下痢、急性胃腸炎、暑気あたり、むくみ)】を処方してもらいましたが、下痢止めを飲むこと自体が少なかったため、浮腫みに対する効果の程は不明、効能に水瀉性下痢が含まれているものの、水下痢の回数が特に減ることもありませんでした。

後は、個人差がある「一定の期間」が経過して水下痢の症状が軽減されることを神に祈るばかりですが、これに関して、長年の付き合いのあるベテランの看護師さんと話している時、看護師さんから「私の知る分子標的薬「ベージニオ」を飲んでいる患者さんは、ずっと下痢が続いている人ばかり、、、」と、衝撃の情報提供を受けました。(号泣)

結局のところ、私は5月6月7月の3カ月間、毎日水下痢が続く生活を送った訳ですが、家の中で家政婦業を続ける分には支障がなく、スーパーへ買い物に行ったり、外出したりする際には、常にトイレの位置を把握して行動する緊張感はあったものの、これも大きなトラブルなく過ごしました。

ただ徐々に体力が削られていくことは避けられず、プータロー生活を送っているにもかかわらず、体重が5kgほど落ちました。

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「むっちゃ浮腫むんですけど(嘆息)」問題の方は、8月から水下痢を完全に止めた為、柴苓湯を継続して飲んでいる成果なのか、もともと一過性のものだったのか分からないものの、6月頃のように「むっちゃ浮腫む」ことは、今はもうありません。

この体験を通じて私が学んだことは、

1.水下痢が3ヶ月絶え間なく続けば、人間、ベッドから起きられなくなるほど体力を削られるのかと思っていたけど、案外普通に動けるものだ。感心感心。

2.やっぱ、「小太り最強説」は本当だった。健康寿命が長いのは小太りの人と聞いたことはあったけれど、実際自分が急激に5kg痩せてみると、「小太りで痩せる余裕がある者は、5kg程度ではびくともしない」ことを実感した。パチパチパチ。

3.いろいろ思うところがあり、どんどん預金残高が減っていくという恐怖とストレスがかなり大きいものの、急な体調の変化があっても大らかに受け止められるのは「プータロー生活」のお陰。まさに『人間万事塞翁が馬(人生の禍福は転々として予測できないことのたとえ)』

です。(笑)

次回は、【分子標的薬「ベージニオ」の日々 ③副作用 貧血と脱毛が進行 貧血【6】で輸血って?】です。

(おしまい)

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