「晩夏の河川敷」夕景散歩 (nya.2133)

晩夏の河川敷 夕景

過ぎてしまえば愛おしく思える「8月」です。 (2022年9月2日)

「暑い」「今日も暑い」「夜も暑い」と、終わらない8月を何度も恨めしく思い、ぼやきながらサバイブした8月がついに終わりました。

6月末に気象庁が、「梅雨明け」を異例の早い時期に宣言した時には、残された長い長い過酷な夏を思って軽く絶望しましたが、どうやら誤りであったらしく、数日前に「訂正」されていました。

それによると、今年の梅雨明けは例年通りの7月下旬とのことで、つまり「普通の夏」を過ごしたことになるのですが、当方は年々歳々「加齢」というバイアスが加算されますから、「厳しさ」が骨身にしみた夏でした。

晩夏の河川敷 夕景

晩夏の河川敷 夕景

晩夏の河川敷 夕景

体温調節機能が壊れ、「ネバーエンディング・ホットフラッシュ」を抱えている私は、本当に夏が苦手です。

5月のゴールデンウィークが過ぎると、吹き出す汗を拭いながら夏に向けての気構えを固め、6月は空を覆う梅雨の雲を有難く合掌しながら過ごし、7月は低空飛行かつ安全運転、体調のバランスを崩さないことのみを心掛けながら匍匐前進です。

そして8月、もう匍匐前進することにも飽き、滝のように流れ落ちる汗を拭い続けることにも飽き飽きして、「立秋」「お盆」「処暑」という素敵な言葉の響きを頼りにひたすら終わってくれることを願いうのでした。

晩夏の河川敷 夕景

晩夏の河川敷 夕景

晩夏の河川敷 夕景

、、、と、このようにして過ごした今年の夏もいよいよ終わりになった8月の末、ある日ストンと涼しくなり、空を見上げると、デカデカと夏空に居座っていた入道雲が、薄い秋のうろこ雲に変わっていました。

そして気が付けば、午後8時になってようやく暗くなっていた日没が、7時には真っ暗な夜が訪れるようになっています。

ほんとうに、人が「いつまでも同じ場所で足踏みをしている」つもりであっても、四季が巡り時が流れ続ける限り、「同じ場所にいる」と思うことの方が幻想なのだと思い知らされます。

晩夏の河川敷 夕景

晩夏の河川敷 夕景

晩夏の河川敷 夕景

そんなこんなで、いつも通っている鍼治療の帰り道、「これなら、河川敷を少しくらい歩いても平気なんじゃ?」と思い立ち、ふらりと立ち寄ることにしました。

週一で通う鍼治療を終えて帰宅するのが、大体午後6時ごろなので、春分と秋分の頃は丁度「河川敷の夕景」に行き会うことが出来るのです。

この時期になると、東に向かって運転して帰宅する私は、バックミラーに写る西の空の雲の量や位置を確認しつつ「いけるかも?」と思うと車を河川敷に向けるため、計画性は皆無、その時に出会う風景は一期一会です。

晩夏の河川敷 夕景

晩夏の河川敷 夕景

晩夏の河川敷 夕景

今回訪れるのは「晩夏」、「初秋」とは名ばかりの残暑、、、猛暑。

朝夕が涼しくなったとはいえ秋の花が咲くにはまだ早く、河川敷に行っても「何にもない」と分かっていながら向かいました。

「ところが」、特大の「ところが」です、私が河川敷の駐車場に車を停めようとするのに前後して、1台の車が滑り込み、中から真新しい虫取り網を持った男の子が飛び出してきたのです。

晩夏の河川敷 夕景

晩夏の河川敷 夕景

晩夏の河川敷 夕景

男の子は早速見つけたトンボの名前を大きな声で言いながら駆け出していきます。

後から現れた若いお父さんの手にも虫取り網があり、二人してみるみる遠ざかって行きました。

日没と競争しながら、トンボとりに夢中です。

晩夏の河川敷 夕景

晩夏の河川敷 夕景

晩夏の河川敷 夕景

私は、ほんとうに、感動しました。

秋の花を諦めて「晩夏の夕景」をカメラに納めようと訪れた河川敷で、これほど「晩夏」にふさわしい風景に出会う奇跡に感動しました。

もし誰かに「晩夏」というテーマで一枚の絵を描いて欲しいと言われたなら、この一瞬を選ぶでしょう。

この一瞬には、「喜び」「平和」「郷愁」「追憶」、そして少年のきらきらした夏の一日が終わり、夏が過ぎ去ろうとしている寂しさが凝縮されていて、言葉を失う美しさでした。

晩夏の河川敷 夕景

晩夏の河川敷 夕景

晩夏の河川敷 夕景

結局、この日の散歩も、自分勝手な「期待薄」の予想を斜め上に覆されて、神さまからの素敵なギフトとしか思えない風景に出会いました。

思いがけずこんな瞬間が訪れるから、「生きるって、ほとほと面倒くさいけれど、やっぱり面白いなぁ」と思うのでした。

(おしまい)

晩夏の河川敷 夕景

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「晩夏の河川敷」夕景散歩 (nya.2133)” に対して9件のコメントがあります。

  1. Rika より:

    毎日風太君と日々移り変わる自然を楽しませていただき、本当にありがとうございます。
    今日の写真はまるで美しいポエムのようで、唯々溜息がでました。
    夏の終わりの儚さと切なさが写真からしみじみと伝わってきました。
    私はハワイに住んでいて四季の移り変わりがものすごーく緩やかなので、日本のそれぞれの季節の空気感をこうして感じさせていただいて感謝しています。
    硬派おっさん風な風太くんですが、きっと家の中ではたいへんな甘えん坊ではなかろうかと笑
    どうぞご自愛の上、爽やかな秋を楽しんでくださいね。

    1. ふるゆら より:

      Rikaさん、ありがとうございます。

      ハワイにお住まいなんですね。

      一瞬「ハワイの夏の終わり」を想像してみたんですが、うん、そうですね、「ぼんやり」した感じです。(笑)

      季節の移り変わりが鮮やかであるほど、その季節が終わることへ「惜しむ」気持ちが生まれるのかもしれません。

      そしてこの「惜しむ」気持ちが、日本人特有の「もののあわれ」や「侘び寂び」に通じているように思います。

      『方丈記』の冒頭の言葉「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。淀みに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。世の中にある人とすみかと、またかくのごとし。」に尽きますね。

      「久しくとどまりたるためしなし」だからこそ、今を楽しむべしです。

      No Rain、 No Rainbow

      Rikaさんがお住いのハワイは、よく虹が見られると聞いたことがあります。

      お互いに、「地球滞在型リゾート」の今を満喫しましょう♪

      1. Rika より:

        ホントに。
        一瞬一瞬の美しさと儚さって、この世界のギフトだなと改めて思います。

        こうなればこう、あーなればこう、これはこんなもの、あれはあんなもの・・・

        そんな思い込みで、二度とない瞬間瞬間がかすんでしまうのは本当にもったいない
        ことですね。

        雨が降ると虹が出てうれしくなる^^

        今しかない地球リゾート、満喫しまーす♪

  2. sizu より:

    早9月!毎日、雨雷報道があり
    梅干を干す事ができないでいます私です。

    晩夏の河川敷、本当に素敵な写真が撮れましたね!
    どれも、とても 素晴らしい 一瞬の奇跡(軌跡)ですねー。

    1. ふるゆら より:

      ええっ、sizuさんの所では、9月に土用干しですか?

      そうなんですねぇ、地域によって違うんですね。

      河川敷の写真は、本当に奇跡の出会いでした。

      見ず知らずの親子さんですが、幸多からんことを祈りました。(笑)

      1. sizu より:

        ハハハ、あらあら恥ずかし~(笑)

        いえいえ、只々、8月も3日続きの お天気が続かないので

        のんびり屋の私の場合は、様子見で今になったと言うことになりました。

        ところがです!

        昨日は朝から久しぶりの青天白日!

        もう3日晴れなど待っていられない!と1日でもと、干すわ!と

        干して、天気予報では午後から、曇りと確認して ほんの小1時間

        買い物に行ったら、まるで台風の如くの雨!

        後は御想像の通りの有様です。

        ですが、今朝もめげずに干してます(笑)

        梅干も沢山購入していたのに、ついつい黄色の可愛い梅を

        見たので、まぁ時間もあるし、漬けましょうか・・・が.あだに。

        可愛い実、雨にめげずに仕上げたいと思います(笑)

        1. ふるゆら より:

          ははは、そーなんですね、そのような事情なのですね。(笑)

          私はてっきり「所変われば品変わる」的なものかと思ってしまいました。

          我が家の8リットル保存瓶にびっしりある梅干しは、刻んで、鰹節を混ぜて、おにぎりにして、冷凍して、という長大な消費計画に則ってわずかずつ減っています。(嘆息)

          1. sizu より:

            ・・・それはそれで、簡単にはかたずかない 一仕事ですねー。
            だけど保存食のわざ、学びました。
            ちなみに私の梅も、美味しくできてました(笑)
            今年は、1日半干し。台風の空は、全く予想不可能(笑)です。

          2. ふるゆら より:

            台風、風はものすごかったのですが、今の時期なら稲穂もまだ「首を垂れる」前なので、倒れずに済みました。

            稲が倒れると、お米の出来に関わるので、この時期以降の台風はハラハラものです。

            昔のお百姓さんは、もっと切実に天候のアレコレに一喜一憂していたのだろうと偲ばれます。

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