時は巡る「梅雨と歯医者と未来」 (nya.1328)
何事も、時とともに「同じ」ではいられないものなのですね。 (2020年6月19日)
いやはや、がっつり梅雨に突入しました。
「梅雨が好き♡」という方も少ないと思うのですが、「歯医者が好き♡」という方は更に少ないと思います。(笑)
ですから、今日のブログのタイトルを見て「???」と思われたことでしょうが、今日は、今年に入って吹き荒れた「例の騒動」も収まって来たので、6月になったし「そろそろ、もういいんじゃ?」と思って、歯医者に通う私の『心境』についてお話しようと思うのです。(笑)
「・・・なんじゃ、そら?」「歯医者に通う心境って、そんなこと知りたい人、どこかにいる?」と思ったアナタ!!、全くもってその通りではあるのですが、ちょっとしみじみ「私も変わったなぁ」と思うことがあり、そのことをお話しようと考えた次第です。
まぁ、どう転んでも「下手の考え休むに似たり」的な考察ですので、期待せず気楽にお付き合いください。(笑)
一般的に「歯医者、好き♡」という方は稀だと思いますが、「昭和+ど田舎」で幼少期を過ごした子どもにとって、歯医者は悪夢そのものでした。(笑)
現在のような親切丁寧な麻酔技術の存在しないドリルの恐怖、痛過ぎて泣きだしたら子どもと同時に軟弱な子どもを育てた母親まで叱る「じーさん先生」、「じーさん先生」が怖すぎるけど、町内に他に歯医者がいない過酷な現実。(涙)
そんなトラウマを背負った子どもが、ど田舎には掃いて捨てるほどいて、私もまたそのような「歯医者に対する恐怖」を抱えたまま成人した平均的な田舎者です。
歯医者には「背に腹は代えられないから泣く泣く行く」というスタンスは、今も保持しておりますが、40代になった私は、どんどん体調が悪くなって、会社帰りに歯医者へ通うことも「負担」に感じるほど体力が落ちてきても、歯医者へ断続的に通いました。
というのも、昔「ど田舎の歯医者」で治療した歯が、その頃には「経年劣化」していましたし、その田舎の治療法が現在の治療法に「反する」ものだったらしいのです。
職場近くの「腕自慢」の歯医者の先生には、そのような「歯科を冒涜している」私の口内は許しがたいもので、一つをいじるとその歯が噛み合わせる相方までいじる結果になり、、、もう、歯医者と縁が切れないラビリンスに迷いこんだ子羊状態でした。(涙)
そうこうする内に、46才で乳がんステージ4とがん告知を受ける私の体は悲鳴をあげ始め、めまいが酷くなり、「めまいの原因は咬み合わせが悪いせいじゃないか」という疑念から、ますます歯医者へ通いました。
インプラントに大枚も投じました。
今思えば、その数年後に「末期がん」と診断される私の体は、その時も立派な「末期がん患者」だったのでしょうが、そんな未来を知らない私は、歯医者から「今インプラントをしておけば、この先何十年も使えるのだから」という言葉に「それもそうだな」と思い頷いたのです。
がん告知を受ける1年も前から、私は会社から帰宅するとそのままベッドへ直行、1時間くらい横になって休んでからでないと、食事も入浴も出来ないくらいに体力が落ちていましたので、その間も歯医者へ通っていたのは、一重に「昭和のど根性」だったのです。(笑)
、、、で、遂に心が折れました。
私は歯医者の先生に「体力の限界です。今治療している歯の治療をキリのいいところで中断して欲しい」と頼みました。
職場近くの歯医者、仕事終わりに通えないなら、休みの日に往復2時間かけて通うのはもっと無理というものです。(嘆息)
それ以降、歯医者とのお付き合いは「3ケ月に一度のインプラント点検」だけとなりました。
その状態を4年ほど続けました。
その間、私は「がん告知」を受け、放射線治療、ホルモン療法を受け、この世を上手に卒業するための研究をし、僥倖を得て、骨転移無数リンパ節転移無数の末期がん患者から、骨転移4か所「のみ」の末期がん患者へと華麗なる変身を遂げ、「どうやら、すぐにこの世を卒業するのではなさそうだ」と思い始めました。
そうして時は巡り、遂に、私はこう思ったのです。
「すぐにこの世を卒業するんじゃないのなら、治療途中の歯を治してもらうかな?」
・・・つまり、こういうことです。
私にとって歯医者へ通うということは、「自分に未来があると思っている」ということとイコールで結ばれているのです。パチパチパチ。(笑)
そのように治療を再開した歯の治療はとっくの昔に終わり、それからまた2年ほど経過しました。
再び平穏な「インプラント点検の日々」に戻った訳ですが、今回の6月の点検の際に、「虫歯じゃないけど左上の奥歯が時々痛いから、治してもらえないかな?」と、ふと思いました。
これはアレです、ホレ、そーゆーことです。
そうです、私は自分で自覚しないまま「自分には歯を治療して快適になった未来を味わう時間があるだろう」と考えているということです。
いやはや何とも、いやはやです。
生きていればいろんなことが起きることは知っていたのですが、まさか、まさか、自分が歯医者に自発的に行くことに「未来への希望」を見出す日が来ようとは、、、お釈迦さまもご存じない、青天の霹靂的エポックメーキングではありませんか。(笑)
幼い頃、歯医者の診察台の椅子に硬直して座り、握った手のひらにくっきり爪痕が残るくらい恐怖に慄いていた自分の耳元で、「こんな日が来るよ」と、こっそり教えてあげたいくらいです。
そう、そして梅雨です。
病を知る前の私なら、歯医者へ通う時期を自分で選べるとしても、決して選択しなかっただろうと思います。
梅雨は、雨がうっとおしい上に高温多湿、天然くるくるパーマな私にとって、セルフイメージを壊滅的に破壊する「天敵」です。(笑)
でも、病を得た今の私の「天敵」は違います、「夏」です。
体温調節機能が破損している私にとって、夏の暑さ、エアコンの冷気、吹き出す汗が暑さゆえなのかホットフラッシュ由来なのか、訳が分からないまま体力が削られていく「夏」は、本当に憂鬱です。(嘆息)
・・・で、私はこう思います「6月なら梅雨で涼しい日も多いから、歯医者に通うのも良くね?」(笑)
「女心と秋の空」ならぬ「女心と梅雨の空」、「所変われば品変わる」とはこのことですね。
いやはや何とも、いやはや、梅雨を有難いと思う日が来ようとは、です。
「歯医者」に未来を感じ、「梅雨」に慈愛を感じる私、新鮮ですし「悪くないな♪」と思う今日この頃でした。
(おしまい)