風太が消えた日 (nya.2266)
風太が「鼻ブー」になった理由(笑) (2023年1月13日)
これは先週の出来事です。
今となっては「鼻ブー」となった風太の顔を見て笑っていますが、この時はほんとうに肝が冷えました。
鼻の脇の毛が復元するまでしばらくかかると思いますので、「鼻ブー」風太の写真を見て「???また、ケンカ?」と心配される方もおられるのではないかと思い、事の顛末をお話します。
元旦に近所の氏神様へ初詣を済ませて帰宅した時、年末のショッピングモールで見つけた「50%OFF、¥2,420」のコートが思いの外防寒に役立たないことを痛感しました。
その時は「ん?ちょっと風邪ひいたんじゃね?」程度でしたが、未だ軽々に風邪もひけないご時世、そそくさと風邪薬を飲んで布団にもぐり、「寝正月」の大義名分が出来たことにえびす顔でした。
「もう治った」と思っていた風邪がガツンと舞い戻ってきたのは、1月6日金曜日のことでした。
その日は母を連れて鍼治療に行く日で、「とにかく頭が痛い、とにかく鼻水が止まらない」ものの、喉の痛みや咳や熱はなく、私の風邪と滅法相性のいい「パブロンSゴールドW」とロキソニンを4時間間隔で飲み、肺の前後にカイロを貼って鼻水を止めて乗り切りました。
鍼治療のために自宅を出たのが金曜日の正午、自室前の廊下の定位置でお日さまポカポカの惰眠を貪っている風太に「行ってきます」と頭を撫でたのでした。
鍼治療を終えて帰宅したのが午後6時頃、すでに辺りは真っ暗でしたが風太はいませんでした。
近頃の風太の業務時間は、朝と夜の2部構成で、夜の部は日没の頃出動し、さっさと巡回とマーキングを済ませ8時前くらいに帰宅するのが常でしたので、風太がいないことも意外ではありませんでした。
私は私で「とにかく頭が痛い、とにかく鼻水が止まらない」症状が続いています。
こんなにガッツリと風邪をひいたのは数年ぶり、コロナ前だったような気がします。
おまけに1月6日金曜日は十五夜月。
近頃ますます「地球との対話」が密になっている気象病の私は、必ず新月と満月の頃には頭痛に見舞われるのです。
「やれやれ、風邪と満月のダブルパンチ(嘆息)」と思いながら、布団にダイブしました。
そして、風邪薬の影響で瞬く間に寝落ちし、目覚めた時には、十五夜月は中天に上り、煌々とした月光に照らされた田舎は白夜のような有様でした。
時刻は午後10時、「・・・あれ?風太が帰ってない・・・」
風太が朝帰りすることは珍しいのですが、過去には何度かありました。
人間年齢で言うならアラフィフの雄の帰宅時間が遅いからと、心配するのもアレです。
「まぁ、夜中なら自室の窓を爪でカリカリするから分かるし」と思い、その夜は枕元の灯りをつけたままにして寝ました。
しかし、朝になっても風太は帰って来ません。
おまけに雨が降り出しました。
雨に濡れるのが嫌いな風太なら帰ってくるはずなのにと、にわかに胸騒ぎがし始めました。
雨の中、「風太、ふうた、風太」と呼びながら屋敷周りを歩いたのですが現れませんでした。
もう、胸騒ぎが止まりません。
嫌な想像ばかりが頭を過ぎります。
午後には雨が上がり日が射してきましたので、いつもの散歩コースを目を皿にして歩きました。
散歩コースの途中にあるご先祖さまのお墓で手を合わせ「風太を返してください」とお願いしました。
未だ風邪薬を飲み続けている私は、強烈な眠気に襲われてベッドに横になる度に寝落ちし、2時間ほど寝て目覚めると窓から「風太、ふうた、風太」と呼ぶことを繰り返していたのですが、だんだん胸が締め付けられるような恐怖に襲われました。
そうこうしている間に、昨夜の十五夜月と同じく満月の月光が白々と辺りを照らし、懐中電灯がなくても歩けるほどです。
夜の方が遠くまで声が届くかと気を取り直し、もう一度近所を巡りました。
成果なく帰宅しましたが、もうこの時点で寝るのが怖くなっていました。
目覚めた時「ああ、やっぱり風太がいない」とがっかりすることが嫌でたまらなかったのです。
そして日曜日の朝、「9才のオス猫が二晩帰らなかったからと言って大騒ぎするなんて」という世間体などどうでもいい、「迷い猫」のポスターを作って集落の家を一軒ずつ訪ねて聞き込みをしようと決心しました。
そして泣きながら作ったポスターと、張り紙用のテープをリュックに仕込み私は家を出ました。
私がこれほどパニクる前、風太は家の近所にある空き家2軒のどちらかに行って、抜け出せないか降りられなくなったかどちらかではないかと思っていました。
パニクってからは、交通事故、オス猫と喧嘩して大けが、猪用の罠にかかった風太が頭から離れませんでした、
家を出た私はまず、もう一度空き家を入念に回ってみようと思い、「風太、ふうた、風太」と呼びながら空き家に隣接するの納屋の裏側まで回りました。
すると。
遠くの方から「びゃぁああああ、びゃぁああああ、びゃぁああああ」と風太が必死に鳴いています。
「ふうたああああああ」と私が泣きながら駆け寄ったのは、空き家の向かいにある隣家の納屋。
この納屋は隣家の家人が、毎日普通に出入りしている「現役」の納屋です。
週末で珍しく出入りがなかったのでしょうか、、、盲点でした。(号泣)
風太の鳴き声がする隣家の納屋のシャッターを無断で上げ、「ふうたああああああ」と呼ぶと、一段と大きな声で風太が「びゃぁああああ」と鳴きます。
風太は納屋の一番奥、トラクターの後ろの油缶が積み上げられたスチール棚と納屋の壁の間20cmほどの隙間に隠れていました。
「ふうたああああああ」と泣きながら私が抱き上げようとすると、理不尽にも「しゃあああああ(遅いんじゃ)」と叱られました。(笑)
油缶を動かした油臭い手の私と、油缶の汚れが毛に付いた油臭い風太は、こうして油臭い臭いに包まれて抱き合い泣き合いました。
はあああああああぁぁぁぁぁあああああああああああああぁぁぁぁぁあああああああぁぁぁぁぁあああああああぁぁぁぁぁあああああああぁぁぁぁぁあああああああぁぁぁぁぁ、風太が生きててよかったです。
、、、で、本日のお題の風太の「鼻ブー」の理由ですが、風太なりに納屋から脱出しようとしていろんな隙間に鼻を突っ込んでこじ開けようとして、鼻の脇の毛がなくなるほど頑張った結果、出来たもののようです。
今となって考えてみれば、1年で一番寒い季節、雨も降った日、雨風のしのげる納屋に閉じ込められたことは幸運でした。
風太は閉じ込められて途方に暮れたようですが、特に衰弱した様子もありません。
そして、歩いて数分、未使用の「迷い猫のポスター」を仕込んだリュックを背負ったまま、風太を抱いて自宅に連れ帰り、あっけなく風太の失踪事件は幕を閉じたのです。
私はその足でご先祖さまのお墓参りをして、風太を無事に返してくれたことに感謝して合掌しました。
気が付けば私の大風邪も治っていました。
風太の失踪事件と私の滅多にない数年ぶりの大風邪が重なったことを「シンクロニシティ」と言うべきなのか、、、ともあれ風太と私の「割れ鍋に綴じ蓋」式一蓮托生ぶりに笑う他ありません。
その夜、拭いても拭いても油臭い風太を抱いて、平凡な日常という奇跡に護られた私の安眠が戻ってきたことに、深く深く安堵と感謝の溜息をついて、枕元の灯りを消して眠りにつきました。
(おしまい)
ふるゆらさん、私もタイトルを見てびっくりしました。風太くんとふるゆらさんの日常は、ずっとずっと平穏無事に続いていくものだと、安心しきってブログを拝見させていただいていたので。ふるゆらさんが、納屋に閉じ込められてた風太くんを見つけられたのは、神様やご先祖様たちの見守りと、二人の絆の強さだと感じました(信心の足りない私でさえ)。ずっと、ふるゆらさんと、風太くんの幸せが続きますように。
絵里さん、ありがとうございます。
風太を外猫で飼っている以上、事件事故は覚悟していたのですが、いざとなると肝が冷えました。
ずっと傍にいて欲しいと思っても、風太の幸せは今まで通り自然の中で自由気ままに過ごすことにあると思うので「出禁」にすることも出来ません。
夕方、当たり前の顔をしてニャァ♪と鳴いて帰って来る風太を確認して、「神さまありがとう」と心の中で合掌する毎日です。(笑)
私自身の病気のことも、風太と共に過ごせる時間も、何もかも当たり前と思わずに感謝して生きなきゃ罰が当たるなと、思い知らされた出来事でした。
あ~~~~良かったです~~~~!!!!!
年末からずっとバタバタで、御ブログを開けることができずにいたのですが、今朝やっと開くと不穏なタイトルが目に入り急いで拝読しました。
ふるゆらさんも風太くんもどんなにか不安で心細かったことか。。。
その時の二人の気持ちを思うと本当に胸が締め付けられます。
平穏無事にいれることがどんなにありがたいことかを失って初めて気づくって、正にその通りですね!
ふるゆらさんの風邪も治って、今年はダブルで良きことの始まりですね♡
Rikaさん、ありがとうございます。
あれから早1週間が経過し、風太の鼻の脇の擦りむいた所もだいぶ復元されてきましたよ。(笑)
風太が私の心を温めて、守ってくれているんだと実感した2日間でした。
平凡な日常という奇跡、身に沁みました。
まずは「あぁよかった~」ですね。
題名を見たときはものすごくドキッとしました~
うちも先代のにゃんの時にプチ経験しました。
どうしているのか不安な気持ち、そして見つかったときの心からほっとした気持ちはこの世の天国的でした!(猫の方も同じ気持ちだったでしょう)
風太くんもよく頑張りましたね!
だからあたりまえに居てくれる日常がなんとありがたいことかよくわかります。
ちなみにふるゆらさんがどんなポスターを作ったのか気になります~
タコスさん、ありがとうございます。
馬鹿な子ほど可愛いといいますが、「風太、なんで人の出入りする納屋で遭難するの」と泣き笑いです。
ポスターはですねぇ、胸が締め付けられるほど不安で一杯なのに、「風太の顔や横から見た毛の模様や後ろ姿がよく分かるものに仕上げなきゃ」と職人気質が沸き上がって、写真を厳選してレイアウトを工夫している自分がいました。(笑)
なかなかの出来だったんですが、日の目を見なかったことが幸運の証です。(笑)
>>>まぁ!
それは、それは、新年早々大変な思いをしましたね
無事に風太君も見つかり、ふるゆらさんの風邪も
治り、良かった!!
まさに一蓮托生!不思議な事ですね。
昔、母がそうだったと思い出しました(笑)
笑えないですが、忙しい私の職場に電話を
掛けてきまして、交換の方が、お家からですと
何事かと、驚いて電話に出たら、泣いていて
余計、??何があったの?
ぺけちゃんがまだ帰って来ない!と言ったか、⁈
職場の電話の周りの人は??どうした!どうした!感じで耳を傾けて
いましたし、何とも困った出来事でした。
今となっては、懐かしい出来事です。
風太君も、見つけてもらって、良かったでした。
改めて
おめでとうございます!
ありがとうございます。
風太のいびきが聞こえることが、私をこれほど幸せにしてくれるとは。(笑)
平凡な毎日という奇跡が、身に沁みます。