今年の夏もダウン (nya.251)
固定観念を脱いで、自由を着る夏 (2017年7月7日)
自分が【乳癌ステージ4】だと知った時、最初に思ったのは「残り時間が少ない」ということでした。
次に「丁寧に丁寧に、でも遊び心をなくさずに、行けるところまで普通に暮らそう」でした。
しばらくして、杖を突いて懸命に歩いておられる年配の方を見かけ、「そうか、私はもう、老人になることはないんだ」と気付きました。
【乳癌ステージ4】の10年後生存率が25%、幸運にもその25%に自分が入れたとしても56才です。
10年後生存率の壁を突破できたとしても、さらにそれから20年も生きられるとは思えず、そうなると、私は「老人」にならずにこの世を卒業するんだなぁ、と思いました。
独身で子供も伴侶もいない自分の老後を思う時「寂しい老後は避けられないけれど、貧しい老後だけは避けたいものだ」と常々考えていたのです。(笑)
目の前を苦労して歩かれている「ご老人」の背中を見ながら、失礼にも「こんなふうに、歩くのもままならない身体で長く生きることはないんだなぁ」と思い、「何才まで生きるか分からないんだから、老後のために出来るだけしっかり蓄えないと、とこれまで思ってきたのに、それも必要なくなったなぁ」と思いました。
そんなふうに考えながら私は、【乳癌ステージ4】になることで「ある種の自由」を得たことを発見し、どこか心が晴れ晴れするのを感じました。
こんな感じ方は「不謹慎じゃないか」と思う自分もいましたが、「ちょっとラッキーな気がする」と思ったのです。
自分が天寿を全うした場合、何年「孤独な老後」を送ることになるのか、出来るだけ楽しんで生きるつもりでいるけれど、「不自由な身体で過ごす」ようになった時の身の処し方はどうすればいいのか、漠然とした不安を抱き続けていました。
まだまだ遠い先のこととはいえ、遠くの空を見ると必ず見える暗い雲のようなもので、「あの雲の下に辿り着いた時にはどしゃ降り、雨合羽が必要になる」と身構えていたのです。
そして思いました。
私はもう「老後の心配」をする必要はなくなったのと同時に、「今が私の老後」なんだ。
そう考えると、いろんなことが見えてきました。
自分のすべきことが具体的に思い浮かぶようになったのです。
そーです、私は漠然と考えていた「定年退職後はこんなことをしよう」と思っていたことを「今」すればいいのです。
〇「立つ鳥跡を濁さず」式の身仕舞をするための断捨離。
〇長いこと連絡をとっていなかった友人と会う。
この2点は必要最低限の越えるべきハードルです。
それよりも、私が定年退職後に「ほんとうに」楽しみにしていたのは、社会的なしがらみから解放され、周囲の「同調圧力」とは無縁に生きること、です。
大それたことではないんです。
たとえば「もういいんじゃないの」と思いながらも、ズルズルと続けている「白髪染め」を止めるとか(笑)、「これはちょっと世間が」と躊躇していた服を楽しむとか(笑)。
時間があったらやってみたいと思っていたことを時間に追われることなくやって、暮らしを楽しむことをしたいと考えていました。
【乳癌ステージ4】となった私は、もう「待つ」必要はなく、「今」を楽しむべきなのです。
「そーだ、これからの私は、自由に生きるのだ!!」と思って、はや3年と3ヶ月が経過しました。
幸運にも【乳癌ステージ4】でありながら小康を保ち、普通の暮らしを継続できています。
当初の予想に反して未だにフルタイムの会社員として働けています。
そして、サラリーマンとして「固定収入」を手放せない私は、時間に追われ、社会通念と固定観念にズブズブに浸かって生きています。(涙)
はい、そーです、望み通りの「普通の暮らし」です、「幸運」です、「ラッキー」です、「贅沢」です。
でも、でもですね、たまぁに『私、残された時間を社会人のまま生きて、時間に追われることのない生活を楽しまないまま「卒業」したら切ない』と思うのです。
せっかく、誰かを養う必要もなく、しがらみのない「シングル」で生きているのだから、思い切ってサラリーマンという枠から飛び立って、「自由を味わいたい」「今を楽しみたい」と思う気持ちが常にあります。(嘆息)
そんな「骨の髄まで小市民」な私ですが(笑)、固定観念に縛られない行動ができていることが、1点だけあります。
はい、お待たせしました、それが今日のブログのタイトル『今年の夏もダウン』に繋がります。(笑)
今年の梅雨は、前半が空梅雨で、6月の下旬になってようやく梅雨らしくなりました。
本格的な梅雨に突入したことで、「私の天敵」エアコンの設定温度が一段と下げられ本格的に稼働するようになりました。(涙)
そーなると、【乳癌ステージ4】の骨転移無数、リンパ節転移無数の私は体温調節が上手く出来ず、震えあがります。
哺乳類(恒温動物)から退化して両生類(変温動物)になります。(嘆息)
そして、おもむろに取り出します。・・・・・『ダウンコート』(笑)
「免疫力を保つ=体温を36度後半でキープする=身体を冷やさない」ことを至上命題と思う私は、『ダウンコート』の前段階で十分すぎるほど武装しています。
腹巻、10分丈スパッツ、ハイソックス、長袖Tシャツの下に半袖インナー、放射線療法後に年中冷える左大腿骨にミニカイロ、ダウンのひざ掛け、レンジでチンする湯たんぽ、そして、『ダウンコート』です。(笑)
我ながら真夏に「私って、ビョーキ(笑)」と思います。
でも考えてみれば、「真夏にダウンコートを着る」ことのできる私って、念願の固定観念を突き破っているではありませんか。(笑)
【乳癌ステージ4】だと知った時、「これからの私は自由に生きるのだ!!」と思いながら、なかなかままならない現実の前に涙している私です。
【乳癌ステージ4】だと知る前と同じ体調不良でありながら、【乳癌ステージ4】だと知らなかったら決して踏み出せなかったであろう「真夏にダウンコートを着る」自由を手にした自分を、少し誇らしく思うのでした。(笑)
次は
です。
自分の老後想像できなくなり、逆に楽になったかもと思う自分がいます。
あまり先のことを考えなくなりました。
家族と過ごす時間、労働のありがたさ、日々感じながら過ごしてます。
病気になったのに身軽になった気分です。
治療がおわったら、来年は会いたい人に会いに行こうと思います。
ここ数日北海道も暑いです。
クーラーないので扇風機(笑)
28度で暑いと言ってたら風太さんに叱られちゃいますね(笑)
愛犬をに乗せ少しのクーラードライブしてきましたよ。
「そーなんです」、よく小説や何かで「不老長寿」を手に入れたいと望む人が現れますが、あれなんか本当に理解に苦しみます。
死に際して「苦しんだり、痛かったり」するのが嫌なのであって、「死」そのものは自然なことと思うのです。
この世からの卒業が、「今」「すぐ」と言われたら心の準備する時間が欲しいと思うのですが、「気が遠くなるほど遠くない」というのは、ある種の枷から逃れたような解放感がありますよね。
「ともろー」さんは、まだ自分が乳がんだと知って1年も経っていないのだから、焦らずゆっくり「自分がしたいこと」を探してくださいね。
「クーラードライブ」素敵です。
私も哺乳類として楽しみたいです。(笑)