「東風吹かば匂い起こせよ梅の花・・・」散歩(nya.852)

紅梅 白梅

紅梅 白梅

いま、田舎は梅の花盛りです。 (2019年 3月1日)

私にとって梅は、特別な親しい友人のような存在です。

まだまだ冬の気配の中で、甘く香り凛として咲く梅の花は、「今は厳しくても、希望を失うな」と無言で励ましてくれるようです。

梅の花だけでなく、梅の実もまた私の友人で、梅干しや梅酒も大好きですし、何より「梅エキス」は、末期がんの私の「スーパーフード」として常に傍らに寄り添ってくれています。

どれほど好きかと言うと、、、今現在私は、費用面から「散骨」を希望していますが、本心では、我が家の敷地内に梅の苗木を植えて、その根元に「樹木葬して欲しい」と思うくらい、自分と近しい存在だと感じています。

梅の木

梅の木

梅の木

毎年、一番最初の梅の花に出会うたびに

「東風吹かば匂い起こせよ梅の花 主なしとて春な忘れそ」菅原道真

と呟いてしまいます。

有名なこの歌は、延喜元年(901)正月、菅原道真公が政敵、藤原時平一派の讒言、策謀にはめられ九州・太宰権帥に降され、出発する時に、家の梅の花を詠んだものです。

春になって東風(こち)が吹いたなら、その風に託して配所の大宰府(だざいふ)へ香りを送ってくれ、梅の花よ。

と、現代語訳されることが多く、菅原道真公が死後「祟り神」となって祀られたことから、この歌にもその想いが込められているのだとされ、この歌には怖いイメージがつきまとっていて、ちょっと気の毒な歌でもあります。

しかし私自身は、素直に読めば、心地よい風と甘い梅の花の香りを感じる朗らかな歌ではないかと思い唇に乗せています。(笑)

梅の木

 

梅の木

梅の木

なぜこの歌が好きかというと、、、それは菅原道真公が、まるで愛馬か愛猫に話しかけるように梅の花に「匂い起こせよ」と呼びかけていると思うからです。

それまで、首を竦めるばかりだった北風の中、ふと気付くと別の方向から吹く暖かい風があることを感じた時、心の奥の方で小さな澄んだ鈴の音を聴いたようで嬉しくなります。

寒さの中にあって、そんな風を感じる日が何日かあり、ある時その風に「梅の匂い」が混じっていると、、、「ああ、いつまでこの寒さや厳しさが続くのかと途方に暮れていたけれど、やっぱり春は来るんだ」とすっかり嬉しくなってしまうのです。

梅の木

梅の木

梅の木

下の句の「主なしとて春な忘れそ」も、主(菅原道真)がいなくても春を忘れるなよ、と梅の木に呼びかけています。

菅原道真公が左遷された正月にはまだ咲いていない梅の花も、左遷先の太宰府に着く頃には咲いているだろうから、「(都の)匂いだけでも届けて欲しい」と言われればその通りなのですが、これまた素直に読めば、人間界の些少な浮き沈みとは関係なく季節は巡り、必ず春が訪れるのだ、と梅の木と自分自身に諭しているようにも思えます。

梅の木

梅の木

梅の木

街中にある梅と異なり、田舎の梅は「実用」として畑や敷地の端に植えられ、耕作放棄地が増えていく今となっては、「主なし」で放置されている梅の木がたくさんあります。

だから、私が目にする梅の木は「主がいなくても春を忘れなかった」ものばかりで(笑)、余計にそのように思うのかもしれません。

梅の木

梅の木

梅の木

春夏秋冬が、人知の及ばない、計り知れない宇宙と地球の理の中で、決して破られることのない「優しい約束」として、順を違えることなく巡ることに、私はいつでも感動します。

当たり前に、冬の次には春が来るから、安心して生きられるのだなぁ、と思うのです。

菅原道真公と同じように、生きていれば楽しいことばかりではありませんし、お釈迦様が仰るように生きていれば生病老死から逃れられず、それらから生まれる喜怒哀楽を解脱することも、凡人の身では適いません。

でも、、、どれほど冬が長く厳しくても、東風が吹いたら、梅が梅の花が綻び匂い立ってくれるから、深呼吸をして、また歩き始めることが出来ます。

おしまい。

梅の木

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「東風吹かば匂い起こせよ梅の花・・・」散歩(nya.852)” に対して 12 件のコメントがあります

  1. sizu より:

    ふるゆら様
     
      貴女の賢さ、やさしさは、哲学者のようになっています 深い読みです

      ちょっと昔 菅原道真さんが 太宰府に 行かれる前、道真さんの

      お姉さまに お別れに 立ち寄られ おいて行かれた 水晶の ベルトを

      拝見した事が有ったのを 思い出しました。

      1千年以上立っているのに、梅色のような 薄い うすい桃色

      それは しんみり 心 に、残る 色…でした。

      梅の香は ほんとに かぐわしい.  今日の満開の写真からも香ってきました。

      香ります。

    1. ふるゆら より:

      sizuさん、ありがとうございます。

      梅が心打つのは、寒い中にあって春を見出すことだと思い、「あやかりたいものだ」としみじみ思うのです。

  2. ゆうこ より:

    凄い!素晴らしい!よしみさんへのアドバイスなのに
    私の心にも染み渡りました
    感情が選択出来るのなら怖いもの無しですね!
    私は逆です。頭では理路整然と理解し 納得し 合点がいっているのに
    心が勝手に逆走するので「そんなわけはない、頭では あれほど
    考えに考えぬいて これで良し と腹を決めたじゃないか」と
    自分で自分を必死に諌めるも 願い虚しく 感情だけどうにも
    コントロール出来ずに それでも無理矢理我慢していると
    呼吸が苦しくなり涙腺が壊れた蛇口のようになり息も絶え絶えで
    精神科に駆け込むということを もう何十年もやっています
    全く成長しません。境界型パーソナリティー障害だと言われました
    小さい頃 充分な愛情を受けて育ってないため 精神面が3〜5歳くらいで
    止まってるんだそうです
    だからこれからは自分で自分を育て直そうと思っています
    子育ては慣れたものだしなんとかなると思っています

    1. ふるゆら より:

      そうですか、ゆうこさんの心にも届いてよかったです。

      私もまた、アダルトチルドレンとして成長し、30才の頃に自分の中の「価値観の置き換え」をやりました。

      私は自分の幼い頃から遡って、記憶にある限りその時々に感じたことを書くことで自己修復したのです。

      生き延びるため、あまりの理不尽な体験は「なかったこと」にして蓋をしてきたものを直視することは苦しい作業でしたが、本能的に「必要だ」と思い続けました。

      その時つくづく思ったのは、「それにつけても」私が常に小さな光を探し出してそれを喜ぶお得な性格に生まれついたことは幸運だ、ということです。(笑)

      詩人の谷川俊太郎さんの詩で「どんなよろこびのふかいうみにも ひとつぶのなみだが とけていないということはない」というフレーズがあるのですが、逆もまた然り、悲劇の中には必ず喜劇が潜み、、、笑うことは戦うこと、、、だと思うのです。

      1. ゆうこ より:

        ああ そうなんですね。勇気あります
        私は未だに蓋をしたままです。蓋を開けたら即座に
        両親を刺し殺してしまうでしょうから。
        刑務所生活を送るよりは 私の精神がイカれた方が良いと
        思っています
        両親とも他人行儀ですが仲良しですよ
        仲良く親孝行している自分が好きなんですね
        完全に演技ですが仕方が無いと思っています
        ふるゆらさんの言葉は真っ暗な海に あかあかと灯る
        松明を乗せた船のようです
        轟々パチパチと火花を散らしながら進む船です
        この灯りがある限り 見渡す限り真っ暗な海原でも
        安心していられます

        1. ふるゆら より:

          ほんとうに、、、「なかったことBOX」を覗くのは危険な作業です。

          幼少期から始めて思春期に差し掛かった頃、夢に瀕死の子ねこが現れて、、、とても悲しい夢でした。

          「ああ、もうこれ以上は心が壊れるから止めなさい」というサインに違いないと思い、そこで止めました。

          ゆうこさんは、ゆうこさんの心と相談しながら進めてください。

          過去の自分と向き合う時は「よく頑張ったねぇ、ほんと、よく頑張った」と、その時には誰からも貰えなかった、肯定や称賛の言葉を思いっきり浴びせるのがミソですよ。(笑)

  3. シャキーラのママ より:

    ふるゆらさん、
    こんにちは。
    私は、ムーミン谷のスナフキンが好きです。ふるゆらさんの’ホイ’ の話にも感動しました。梅の香が、風と空気を感じました。いつもありがとうございます!

    1. ふるゆら より:

      シャキーラのママさん、ありがとうございます。

      3月になりましたねぇ♪

      梅の花が満開で風が梅の香りなので、一歩外に出ると、深呼吸してしまいます。

      「ホイ」って、大切ですよね。

      たぶん、、、若い時にはピンと来なかった話かなぁと思いました。

      でも、アラフィフにもなると、「・・・あれがホイだったのか・・・」と思い当たるという、、、。(笑)

      1. シャキーラのママ より:

        わかりますわー。私は、更にバルサはチャグムの関係にもグッぐっと、来ました。’バルサはチャグムに「みごとなホイ(捨て荷)だったね」と言い、それを聞いたチャグムの顔には、ゆっくりと苦笑が浮かびます。’
        なんて素敵な関係でしょう!友達、同士っていいですね。いつも素敵なお話を共有していただき、感謝・感謝です。

        1. ふるゆら より:

          借金を抱えた商人にも、一国を救おうと思う皇太子にも、「捨てる覚悟を求められる時」が必ず訪れることが、絶妙だなぁと思うのです。

          そしてその知恵を持ち合わせた人と出会える幸運。

          悶々とした感情を「ホイ(捨て荷)」だったと名付けるだけで、暗雲から光が差し込むような気がする不思議。

          生きるって、面白いなぁ、と思います。

  4. よしみ より:

    私も50代で乳がん、肺がんになりました
    ついつい 恐怖に支配され
    いたたまれなくなります…

    穏やかに過ごしたい!
    でも、心がいうことをきいてくれない

    突然、すみませんm(_ _)m
    毎日が苦しくてなりません

    1. ふるゆら より:

      よしみさん、はじめまして&コメントありがとうございます。

      それぞれの人が抱える苦しみや悲しみは、どれほど親しい間柄の人とであっても共有できるものではありません。

      また、その人がどの時代の、どの土地に、どのような知能、容姿、体力、気質を持って生まれ落ちるかも、決して選べません。

      皮肉なことに、孤独と選択できないという点において、人は「平等」なのだと私は思っています。

      人は生病老死から逃れられず、その間、喜怒哀楽に振り回されます。

      死に至るかもしれない病を抱え、自分の意志では手の届かない領域の前に立たされた時、恐怖を感じない人はいないでしょう。

      でもね、よしみさん、私はどんな時だって「自分の感情」を選ぶことだけは出来ると思っているのです。

      全く同じ過酷な条件で生きる人が、ある人は不幸を嘆き、ある人は自分は幸せだと思う場合があるのは、そのためだと思うのです。

      健康という大きなものを失いましたが、それは「不幸」を指すものではありません。

      よしみさんがこれまでに「自分は幸せだ」と感じたことが、「自分は健康だ」ということとイコールではないように。

      大切にしたいと思っていることを見失わず、大切に出来ることは幸せです。

      私は『千と千尋の神隠し』のエンディングテーマ『いつも何度でも』を何度でも口ずさみます。

      「悲しみの数を 言い尽くすより 同じくちびるで そっとうたおう」♪

      「こなごなに砕かれた 鏡の上にも 新しい景色が 映される」♪

      呼んでいる 胸のどこか奥で
      いつも心踊る 夢を見たい

      悲しみは 数えきれないけれど
      その向こうできっと あなたに会える

      繰り返すあやまちの そのたびひとは
      ただ青い空の 青さを知る
      果てしなく 道は続いて見えるけれど
      この両手は 光を抱ける

      さよならのときの 静かな胸
      ゼロになるからだが 耳をすませる

      生きている不思議 死んでいく不思議
      花も風も街も みんなおなじ

      ラララララララララ・・・・・・・・・
      ホホホホルルルル・・・・・・・・

      呼んでいる 胸のどこか奥で
      いつも何度でも 夢を描こう

      悲しみの数を 言い尽くすより
      同じくちびるで そっとうたおう

      閉じていく思い出の そのなかにいつも
      忘れたくない ささやきを聞く
      こなごなに砕かれた 鏡の上にも
      新しい景色が 映される

      はじまりの朝の 静かな窓
      ゼロになるからだ 充たされてゆけ

      海の彼方には もう探さない
      輝くものは いつもここに
      わたしのなかに 見つけられたから

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