家族に「癌告知」 長い一日の終わり (nya.17)
数えきれないシュミレートの成果を見よ (2014年3月12日)
私の長い一日はまだ終わりません。
家族は、今日も私が会社に「出勤」していると思っています。
ファミレスで時間調整をし、普段通りの時間に帰宅して、両親に「癌告知」するというミッションが残っています。
これには細心の注意が必要です。
話を聞いた両親がパニクってもいいように、夕食を食べ終えたタイミングで帰宅することが「肝」です。
伝える内容は、2月14日の針生検で、医者が「癌の可能性が非常に高い」発言した時からずっと、今日まで、1か月かけて考え抜いています。
何度も何度も、頭の中で繰り返しリハーサルし、シュミレートしてきた成果として、とても簡潔にまとまっています。
今日の衝撃の「PET/CT検査の結果」を受けて、多少アレンジが必要ですが、大筋はそのままで問題なしです。
ここまでくれば、本番の舞台を迎える女優のように、早く舞台の幕が上がって欲しいくらいでした(笑)
そして、帰宅。両親を台所に呼んで座ってもらい、伝えました。
が、私のいつにない改まった様子に怯えた母親は、席に着くなり「がん?がん?あんた、癌なん?」と、鋭い母親の勘で察してしまいました。
伝えたのは、次の通りです。
①私は、乳癌(浸潤性小葉癌)のステージ4の末期癌患者で、5年後の生存率が50%です。
②全身に癌が転移しているために、手術や抗がん剤の治療はなく、ホルモン療法と放射線療法をしていきます。
⓷生活上の制限も食事の制限も何もないので、このまま会社を続けるし、今までの生活を変えることもしません。
④金銭的には、先進医療や手術、抗がん剤もないので、医療費が高額になることもないし、がん保険のお金も入るので、財政的な援助もいりません。
⑤私がこうなったことは、残念なことだけど、誰のせいでもありません。あなたたち家族のせいでもないし、もちろん「私のせい」でもありません。私の癌のことで、私自身も含めて、誰も責められることのないように、今後いっさい、その手のことは聞きたくないので、口にしないでください。
⑥自分が癌と知り、何かしたいことや、欲しいものがないかと考えましたが、「猫が飼いたい」と思うので、来週には猫を連れて帰ります。あなたたちが「猫を飼うと家が汚れる」と思っているのは知っていますが、『どうしても飼いたい』と思っているので、猫を飼います。
⑦最後に、この一度しか言いません。「兄がくも膜下出血で左半身不随。あなたたち両親がこれから高齢者となる今、私を一番頼りにしたい時に、末期癌となってしまい、本当に申し訳なく思っています。本当にすみません。」
両親は、衝撃を受けていましたが、取り乱すようなこともなく、終始静かに聞いてくれました。
母親は「もう、ご飯も喉を通らないわ」と言っていましたが、それを見越して、夕食後を選んで伝えたのです。
私の作戦勝ちです。
私自身が、乳癌の自習をしながら、分かりやすく書かれていると思ったものを「この日」に備えてプリントアウトしてファイルしていました。
それを渡し、落ち着いたら読んで貰うよう頼みました。それに今日のPET画像の資料を加えて、私は台所から自室に入りました。
はあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁ。
私のこの日の、長く長くハードなミッションが、ようやくコンプリートしました。
次は
改めてかみしめる【病理組織検査報告書】の意味 (nya.18)
です。