金木犀と『夏目友人帳』の秋 (nya.705)

金木犀

金木犀が咲くと10月が来たんだな、と思うのです。 (2018年10月3日)

今年の金木犀は少し早く、9月の末に微かに花の香りが漂い始めました。

金木犀の香りに最初に気付いた時、思うことは毎年同じです。

「もうそんな季節になったのですね・・・・・」です。

8月の終わりには野菊が咲き、9月になったら萩の花が咲いて、お彼岸には曼殊沙華、そして10月になれば金木犀が咲く、晩夏から中秋にかけて咲く花の順番は決まっているのに、金木犀の香りはいつも「ほんの少し」私を驚かせます。

私自身が知らない時から【乳癌ステージ4】の体は、夏の暑さと格闘しても負けるようになりました。

くっきりと影を残す眩しい日差し、大地を覆いつくす草いきれ、青い青い空の青さを弾いて浮かぶ真っ白な入道雲、体をすっぽり音でくるまれたように途切れることなく続く蝉しぐれ、生命力が爆発したような夏が今でも私は大好きですが、夏が楽しいばかりではなくなって久しくなります。

9月はまだまだ残暑が厳しいので夏と格闘した生々しい記憶を忘れることが出来ず、「暑さ寒さも彼岸まで」を念仏のように唱えて過ごし、肩の力を抜くことができないままに過ぎていきます。

そしてお彼岸、黄色く色づき始めた稲穂の脇にかがり火を並べたように曼殊沙華が咲いて、「間違いなく秋のお彼岸がやってきました」と私の心に「秋の受領印」を押してくれるのです。

秋の草叢

夏にこてんぱんに負けてすっかり臆病になった私が、ようやく秋が来たことを得心したお彼岸から数日、金木犀の香りに気付いたら10月です。

田舎の春が梅の花の香りと、沈丁花の香りで始まるように、田舎の本格的な秋は金木犀の香りで始まります。

顔を近づけるといい香りのする花は季節を問わず多くありますが、田舎の空気全体を甘く染めてしまうような香りのする花は僅かです。

夏や冬にはなく、春と秋にだけ、始まりを告げる花の香りがあるのは、田舎に生きる者の嬉しい特典です。

天候や気象、地震によって、今年も様々な被害をもたらした自然ですが、明けない夜はない、止まない雨はない、四季の巡りの順番が逆転することもない、自然の「優しい約束」が守られているから、自然の一部である私たちが暮らしていられるのです。

金木犀の香りに驚いた私は、夏には身に着けることも煩わしかった長袖の服を いつの間にか重ね着している自分にもまた驚きます。

いつもの散歩道に色づいた木の葉が落ちていることが多くなるたび、私は一枚また一枚と身に着けるものを増やしていきます。

まったくもって「もうそんな季節になったのですね・・・・・」です。

 

秋の田舎道

私が金木犀の香りに特別な感慨を持つのは、10月が私の生まれ月だからということもあります。

2014年3月、自分が乳癌のステージ4で限られた時間しか残されていないのだと知った時、美しい四季の移ろいを楽しめるのがあと数回なのかと思った時、自分でも驚くほど、そのことが心残りに思われました。

生きていると「もう、駄目だ」と膝を屈してしまいそうな時が、何度となくあります。

これまでは何とか自分を諦めずに踏み留まってこられたけれど「もう、駄目だ」、今膝を屈してしゃがみこんでしまえば、もう二度と立ち上がる気力はないし、第一、踏み留まり続けることを自分が望んでいるかどうかも分からなくなった、と思う時。

空を見上げ、道端の花を目にし、風に吹かれる草を見て、「ああ、きれいだなぁ」と思い、涙をぬぐい、深呼吸して、「もう少しだけ・・・」と思えたことが何度もあります。

常に寄り添い、私と不可分の自然から、死によって切り離されることが心底名残惜しかったのです。

もちろん私は「千の風」になるつもりですので、この世を卒業しても自然から遠ざかることはないのですが。(笑)

そうして今年は5回目の10月、金木犀の香りとともに私の生まれ月が巡ってきました。

楽しいなぁ、嬉しいなぁ、優しいなぁ、と思うのです。

秋の柔らかな日差しを受けて輝く自然の美しさが、しみじみと心に沁みます。

柿の紅葉

今年の夏、自由研究として「エアコンのない夏」に取り組み、その結果シェスタと無料動画アニメにハマったことは、以前にもこのブログでご報告しました。

子育てを経験していない私が、どっぷりアニメを見るのは実に30年のブランクがあり、その分新鮮で、十分に心のカンフル剤になったのです。

「ハンターハンター」と「スラムダンク」を観て、心が元気になりました。(笑)

私が単純で安上がりな人間で本当に良かった♡と、あらためてお得に生まれついた幸運に感謝しました。(笑)

でも、そこはホレ、私、ですから、自制心が豆腐のようにやわやわですので、、、それ以外のアニメももちろん観ているのです。

前述のアニメに加えて、もう一つ気に入ったアニメがありまして、『夏目友人帳』という「妖怪・もののけ物」です。

映画化もされている人気作品ですので、ご存知の方も多いのかと思いますが、私はこの夏が「夏目友人帳デビュー」でした。

この作品の舞台が「とっても田舎」で、アニメに描かれている田舎の風景が、物凄く私の住む田舎とシンクロします。

トトロを観た時も田舎の風景に共感しましたが、『夏目友人帳』も秀逸です。

主人公は、妖怪が見える夏目貴志くんという男子高校生で、幼い頃に両親と死別し、田舎に住んでいる遠い親戚の家に引き取られて暮らしているという設定ですから、全体として穏やかで静かな雰囲気を持つ作品です。

ストーリー自体も楽しいし、主人公の夏目貴志くんが相方の「ニャンコ先生(=妖怪斑(まだら)」といろいろなことを解決していくので、猫好きな人にもたまりません。(笑)

そして、日本の田舎の四季の風景がほんとうにきれいなので、私のブログで「まいにち風太、まいにち田舎」を楽しんでくださっている方には、とても楽しめるのではないかと思いました。

ご興味のある方は、無料動画の『GYAO!』(会員登録不要の無料動画サービスGYAO! 。テレビ放送中のドラマやアニメ、映画、音楽、韓国ドラマなど、エンタメ動画が無料で見放題。)で、『夏目友人帳 伍』が数作品観られますので、観てみてください。

https://gyao.yahoo.co.jp/ct/anime/

セイタカアワダチソウととんぼ

セイタカアワダチソウととんぼ

病を得て、丁寧に生きよう、四季の移ろいに目を凝らして、それらを心底愛でて暮らそう、と心に決めて生きたら、思いがけず穏やかに暮らす5回目の秋に巡り合うことができました。

毎年変わらない、10月の訪れを告げる金木犀の香りに、今年もきちんとときめくことができました。

そして、、、、、金木犀の花を眺めながら、「そういえば、ブログで『夏目友人帳』を紹介したら、喜ばれるんじゃないかなぁ、無料だし」と思うのですから、生きるということ、時が流れるということは、いつだって不思議です。(笑)

それぞれの方が、それぞれの場所で、それぞれの環境で、それぞれの事情で、それぞれの想いを抱えて今年の秋を迎えられていることでしょう。

『地球滞在型リゾート』を楽しみ、日本という島国観光を楽しむ旅人同士、限られた時間を愛おしみ、移ろう季節を愛でて、秋の心地よい風を堪能しましょう♪

 

次は

です。

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金木犀と『夏目友人帳』の秋 (nya.705)” に対して6件のコメントがあります。

  1. りな より:

    私も夏目友人帳が大好きです(笑)41にもなって、アニメ好きな旦那のおかげでいろいろみてますが、夏目友人帳は格別ですね!
    金木犀も懐かしいです。山吹色のあの小さいお花と香りが大好きです。南仏在住ですが金木犀は見たことがないです。もうそんな季節なんですね。こちらは紅葉もあまりないので寂しいです。日本のほうがやっぱり四季を自然から感じることができる気がします。
     東京オリンピックの年には、私達も日本に戻れたらと考えています。こちらは乳がん治療は100%国が助けてくれるので、治療費がかからないので助かるんですが、やはり生活は日本がいいなぁっと。それまでにこの病気がなんとかなってくれたらと願うばかりです。

    1. ふるゆら より:

      りなさん、はじめまして、そしてコメントありがとうございます。

      南仏で『夏目友人帳』を観るなんて、なかなかの達人とお見受けしました。(笑)

      『夏目友人帳』を見始めて、この雰囲気いいなぁ、と漠然と思っていたのですが、ある時、背景の田舎の風景にとてつもなく親近感を覚えているからだと発見して、一人で爆笑してしまいました。

      日本の四季の移ろい、多神教の持つ大らかさ、アミニズムの地球の真ん中に繋がっている感覚、自然に対する畏怖と恐怖と親しみと、日本人なら「ああ、ほっとする」と思いますよね♪

      そうですか、りなさんも「がんマラソン」ランナーなのですね。

      そして、意味は違うけど「目指せ!!東京オリンピック!!」です。

      時折り『夏目友人帳』を見て、心の深呼吸をしながら生きることを楽しみましょうね♪

  2. まるこ より:

    ふるゆらさんこんばんは!
    そして、お互いお誕生月おめでとう!笑
    目を瞑ると秋の寂しげな…でも冬を迎える強さを持つ草木の擦れ合う音と金木犀の香りが漂って来ました。ふるゆらさんの表現に引き込まれて、そちらに小旅行に行かせて頂きました~
    私の住む所では季節はスーパーのディスプレイで一番感じます。今はハロウィン、終わればお歳暮。もう?って感じで気忙しいです。
    ふるゆらさんは5年生なんですね!
    凄い!
    私は2年生。後何回スーパーのお化けカボチャが見られるかな…

    32才の女性が余命3年と言われ、その後元気で6年生きられたそうです。覚悟して共に過ごした家族は良く頑張ったと言って葬儀は他人からみたら不思議な位明るかったそうです。
    その話しを聞いて嬉しくなりました。
    私は何度か「もう、いいや」と膝を屈してしまう事があったけど、家族の為にお化けカボチャは後2回見るぞ!と言う気持ちになりました
    (単純~)
    オリンピックのマラソンを沿道で日の丸振って応援してやるー!

    1. ふるゆら より:

      まるこさん、ありがとうございます。

      まるこさんも私も「目指せ東京オリンピック♪」ですね。(笑)

      田舎はすっかり何もかも秋です。

      私たちのように病気を抱える者は、四季の移ろいに時の重なりを見て、何ともしみじみしますよね。

      いつも思うのです、この病気になっていなかったら、何歳になっても人生の時間が有限だと思うことなく生き、老人になったとしても覚悟を先延ばしにしているうちに「突然」この世から卒業することになっていたのだろうと。

      ささやかな幸せを心に焼き付けて生きられる私たちは幸運です。

      ささやかな幸せとそんな時の流れを家族と共有し、一年、また一年と重ねて、「東京オリンピック」は通過点、その先の「パリオリンピック」を目指しましょう♪

  3. 絵里 より:

    ふるゆらさん、金木犀は、私の町でもあちこちで香っています。なんだか、清々しくて優しい空気を運んでくれますよね。 ブログに「夏の暑さに格闘しても負けるようになりました」と書いてらしたけど、今年の夏は、暑い暑いといわれていた今までの夏と、異質でしたでしょう! ほとんどの人が負けているから、大丈夫ですよ。 私もこの夏は体調がダウンするたびに病気の悪化が頭をよぎり、さらに落ち込むの繰り返しでした。でも文庫読み漁りをしていると、その間は体調不良を忘れているんです。ふるゆらさんは、アニメを見ているときどうでした? 今月はお誕生日おめでとうございます。さりげなくブログ、700回越えも♡

    1. ふるゆら より:

      絵里さん、ありがとうございます。

      絵里さんこそ、体調はいかがですか?

      私は誕生月の秋を「ありがたや~ありがたや~なむなむ」と喜んで過ごしています。(笑)

      大袈裟に言うならば、夏の暑さに格闘しなくていい季節は、息をするのも楽なのです。

      ブログも700回を越えました。

      いろんな方に読んでいただけているからこそ、大の苦手な「継続」が出来ています。

      絵里さんを始めとしたいろんな方が、怠け者の私の背中をそっと押してくださっているからこその700回です。

      こちらもまた「ありがたや~ありがたや~なむなむ」です。

      絵里さんの文庫のように、私のアニメも大いに「現実逃避」に役立っていますよ。(笑)

      生きていると絶え間なくいろんなことがあり、それから目を背けたり、逃げ回りたいわけではありませんが、ほんのひと時、現実ではない「どこか」へ心を遊ばせると、現実に向き合う心のパワーが復活するから不思議です。

      時々心底面倒臭いけれど、、、、愛おしく楽しい「生きる」ということを 寄り道しながら大いに満喫しましょうね♪

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