晩秋の公園散歩 (nya.1475)

晩秋の公園 紅葉

晩秋は長月(ながつき)、、、旧暦の9月ですから、明日で終わりなんですよね。 (2020年11月13日)

11月7日に立冬は過ぎましたし、旧暦の9月(長月)も別名の夜長月(よながづき)の名の通りすっかり夜が長くなって、明日でおしまいです。

温暖な気候の私の住む田舎では、これからが紅葉が鮮やかになる時候ですが、それはもう秋が深まるのではなく、冬の訪れと考えなくてはならないのでしょう。

そんなことをぼやぼや考えながら、「秋の公園」へ行ってきました。

晩秋の公園 紅葉
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晩秋の公園 紅葉

とは言っても、生来の出不精な私が「秋の公園」に出掛けるのですから、そこには「事情」がある訳です。

2014年3月に乳がんステージ4とがん告知を受けて以来、長らく、、、6年間も月一の通院を続けていた私です。(涙)

最初の4年は、がん転移で骨に大小無数「穴」が空いてしまっているのを補強すべく「ゾメタ点滴」を4週に1回受けていたためであり、それ以降は「傷病手当金」の申請を月一で申請して生活費を確保したいという自己都合のためですが、ともあれ、、、せっせと通いました。

晩秋の公園 紅葉
晩秋の公園 紅葉
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そして今年、2020年の1月、1年6カ月の傷病手当金をガッツリ任期満了まで貰い終わった私は、ようやくのことで「3ケ月に1回の通院に出来るんじゃね?」と小躍りしたのでした。

ど田舎に住む私が、県庁所在地の「街」にある病院へ行く通院時間は車で往復2時間、病院滞在時間は、もう鉄板のルーティンでサクサクと進む診察その他でかっきり2時間ほどで完了です。

悩ましいのは、出不精でプータローの私には「街」に出掛けたからといって、他にこれといった用事が見当たらないことです。

帰り道に「スシロー」に寄ってドカ食いしたり、「ファッションセンターしまむら」に寄ってついつい散財してしまうことが、長期緊縮財政下にある私の頭痛の種でしたので、「3ケ月に1回の通院」は、大歓迎なのです。

晩秋の公園 紅葉
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んがしかし、私のささやかな皮算用は、2020年4月に主治医から腫瘍マーカーNCC-ST439(基準値:50歳以上の女性:4.5未満)が130という破格の高値を叩き出していると告げられた時、あっけなく崩れ去ったのでした。(号泣)

まるで形状記憶合金のように、あっという間に再び月1回の通院に逆戻りした私ですが、2020年8月のPET/CTの受診で、【左乳癌にFDG高集積(SUVmax:5.1)あり再燃を疑う。右鎖骨、右第5肋骨、TH11,12,L1,2,両腸骨の骨転移に集積亢進あり再燃と思われる。】と、なんと9カ所もがん転移が再燃したことが判明して以降は、月2回の通院を余儀なくされることになったのでした。トホホホホ(涙)

腫瘍マーカーは血液検査によって調べられるものですが、私の通う病院では、採血後1週間しないと腫瘍マーカーの数値を知ることが出来ないので、月1回の診察の折に、腫瘍マーカーの数値の変化を知ろうと思うと、診察の1週間前に採血をする必要があります。

晩秋の公園 紅葉
晩秋の公園 紅葉
晩秋の公園 紅葉

がん転移の再燃という事態を受けて、それまで長々とお世話になったタモキシフェンに別れを告げ、フェソロデックスに変更したのですが、それがタモキシフェン同様に私のがん転移を抑制してくれるかどうかは、「神さまの領域の博打」です。

いくら私が「気にならない」性分の人間であるとはいえ、薬の変更後の腫瘍マーカーの数値の推移が、上昇傾向なのか下降傾向なのかは「早めに知りたい」と思うのが人情で、そのため今現在は、せっせせっせと月2回の通院をしているという次第です。

、、、で、「秋の公園」へ足を向けた日のは、11月の診察1週間前の採血のために「街」へ行く必要があり、採血ゆえに病院滞在時間は30分程度、いくら何でもその足で帰宅するには「天気が良すぎる」と思ったからなのでした。

晩秋の公園 紅葉
晩秋の公園 紅葉
晩秋の公園 紅葉

思えば毎年「晩秋」の時期に、公園を訪れては、桜やもみじの紅葉、銀杏や栴檀の木の黄葉を見上げて写真を撮りながらぶらぶら歩いています。

大木に育った公園の木々が、1年で劇的に変化する筈もなく、同じ風景を見て、同じような場所で「きれいだなぁ」と思ってシャッターを押すのですから、我ながら「よく飽きないものだ」と思いもするのですが、私の心に惰性はなく、やっぱり心の底から「きれいだなぁ」という新鮮な感動だけがあります。

ではなぜ、常に新鮮なのかというと、それを見る私が常に変化しているからだと思います。

晩秋の公園 紅葉
晩秋の公園 紅葉
晩秋の公園 紅葉

もはや「アラフィフ」と名乗ることにも気が引ける53才、ギリギリ家族と愛猫風太がいるものの、きっぱり「お一人さま」では見守る子供も孫もおらず、体重以外で「成長」という言葉が「変声期」と同じくらい遥か彼方で霞み、「かつてそんなこともあったような、、、」という私です。

2018年1月から長期の病気休職に入って約3年、その間ずっと「自粛生活」を送り、何ら刺激らしい刺激もない怠惰な日常を「喜んで」送る私です。

それでもなお、人の心というものは、同じ所に留まることなく変化し続けるのだということを知りました。

晩秋の公園 紅葉
晩秋の公園 紅葉
晩秋の公園 紅葉

一昨年の晩秋、去年の晩秋、私は何を思いながら紅葉を見上げたのか、今となっては思い出すことも出来ませんが、今年の晩秋の紅葉を見上げる私と同じではないことは分かります。

何かに焦り、未来に漠然と不安を抱き、少しばかり自分に失望して、それでも、このような穏やかな時間の中に生きていることに感謝しながら、紅葉を見上げることは、これまでもこれからも「同じ」です。

しかし、四季が一巡するだけの時の流れが、気付かない間に流れた時間の分だけ確実に私を運び、言葉に変換すれば同じ焦りも、不安も、失望も、1年前とは異なる意味合いを帯びているのです。

晩秋の公園 紅葉
晩秋の公園 紅葉
晩秋の公園 紅葉

このようなささやかな気付きの瞬間に立ち会うたびに、「今」の延長線上に未来があると想定して、先々のことを考えるのは愚かしいと思うのです。

1年前の晩秋の紅葉を見上げる自分に、「来年の8月にはがん転移が9カ所も再燃してるからね」と告げることが出来ないのと同じく、「今」の私にどのような1年後が訪れているか見通せるはずもないのです。

刹那的に生きるのではなく、取り越し苦労に消耗することなく、「今」を丁寧に生きるって難しい、、、なるほど、お釈迦さまが「中道」を説かれたのもむべなるかな、です。

晩秋の公園 紅葉
晩秋の公園 紅葉
晩秋の公園 紅葉

特段の信仰を持たず、「信心」だけを持つ私にとって、自然と四季の移ろいに神性を感じます。

この世の美しさを見る喜びと、日の光を浴びる心地よさと、生々流転の時の流れと、色即是空の「もののあわれ」と、その中の小さな一部である自分が原点に立ち戻る気付きを与えてくれる、そんな存在です。

その中に身を置けば、永遠に未完成でいいんだと、素直に思えて心が解放されます。

晩秋の公園 紅葉
晩秋の公園 紅葉
晩秋の公園 紅葉

「ああ、やっぱり、来てよかったなぁ」と、思いながら公園を後にしました。

これから自分がどのような道を歩み、どのような喜怒哀楽を感じるのかは「神さまの領域」ですが、病を得たからこそ「今」自分がここに立っていることを思えば、なるほど、“Every cloud has a silver lining”. (すべての雲は銀の裏地を持っている)のだと分かります。

そう思えば、これから生起するであろう未来の出来事は、一見自分にとって有難くないものであっても、暗雲が立ち込めようとも、その裏に輝くものを併せ持っているのだろうと信じられます。

そのように「流れ、流される」ことに身を任せ、心の底から信じられるようになったのが、今年の「晩秋の公園」を訪れた「新しい私」です。

(おしまい)

晩秋の公園 紅葉
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晩秋の公園散歩 (nya.1475)” に対して4件のコメントがあります。

  1. sizu より:

    ・・秋の公園

    いい写真が 沢山❣

    綺麗~!って 目を見張るのも 脳にも体にも いいらしいです

    沢山 目 と 脳 に良い刺激 頂きました ♥

    今日は こちらも散歩に 良い気候でした。

    1. ふるゆら より:

      はぁ、ほんとにいい季節です♪

      桜の花と同じように、この美しさが絶えず変化し続けている一瞬であることを知っているので、さらに美しく思えます。

  2. ちょび より:

    新生ふるゆらさん お誕生おめでとう!笑 そういうとみんな毎日が、毎瞬間がお誕生おめでとう!です。
    新生ちょびは、ふるゆらさんい教えて頂いた例のNCC-ST439ってのを昨日ホスピスで そんな新しいのあるならやりたい~とDr.に申し出たら、昔からあるけどちょびさんには不要と瞬殺。理由は難しい説明で耳がシャットダウンしちゃいました~

    ない時は全くないのに続くときは続く飲み会=吸い過ぎw コロナもどこ吹く風で飲み会続きが祟り(自己診断)お腹から胸に蕁麻疹多発  筋トレしていない日も朝昼晩プロテインを飲み続け今日の血液検査でBUN値がハイスコア あれもこれも飲みすぎと反省し 内臓にも休暇を でそろそろ季節の変わり目断食で身体を休めます。ごめんね 自分 ごめんね 五臓六腑 w とよしよししながら。
    半年前のCA15値を聞こうと思ったら半年前は会社診断書が要らなかったので血液検査すらしなかった模様 笑
    診断書書くために血液検査してたらしい。最近、人事部からちょびさん3年近く診断書出して貰ってませんと見つかってしまい今回は血液抜いてきました。1年後の予約をしてきたのでその時に結果を知る。
    直近の3年前の値は正常値に近づいて来てると。ん?それ聞いたことあるぞ・ 半年前に聞いたのか・・・
    超音波では小さくなっているように見えると言われた半年前。今回は元(巨大)に戻ってると。超音波なんてそんなもの。 苦笑 
    せんせーー!診断書に「在宅勤務の事」って書いてーー と言ったら 「そんなことは会社が決めることだから書けないよ」と。それでもしつこく食い下がるも書けないと。「じゃぁ 推奨って文言は?」と言うと「それはいい言葉だ」と「感染に対して注意が必要な為、在宅勤務を推奨する」と書いてくれました。Dr.Good Job
    Dr.が6年も経ってるのにこの状態は不思議だなぁ あの状態(最初)で6年経てばもう・・・(とっくにお星さまになってると言いかけた模様 爆笑) 不思議だなぁと連呼し、ねぇ と同意を求められ返答に困り・・・
    必然ですよ とボソッと答えたら 宇宙人を初めて見た人間みたいにDr.の瞳孔が開きまくってました。
    これ以上話すと お互いの思考は交差どころかカスル事もなく宇宙の果てと果てまで離れていくばかりで 話が交わらず会話は成立しないと知っているので 
    せんせー!また在宅勤務推奨って書いてね 良いお年をーー!! とそそくさと診察室を後にしました。  
    以上 同胞のトホホのホの近況報告でした(^^)/

    重要なのは外側ではなく内側であり、外側に振り回されると混乱します。自分の直感を研ぎ澄ませ耳を傾ければ、それぞれのベストな状態になる様に人生は設計されています。自分でそうしてから来たんです。ここに。
    だから焦らなくていいんです。先を往く者はこれから来る者たちに道を示します。必ず。 楽しみです。ね

    1. ふるゆら より:

      新生ちょびさん、「極上の診断書」をGETできて良かったですねぇ♪おめでとうございます。

      私より数段上位の「のらがん患者」ぶりに感服いたしました。

      それよりも驚いたのは、『人事部からちょびさん3年近く診断書出して貰ってませんと見つかってしまい』という貴社の大らかさなんですが。(笑)

      『自分の直感を研ぎ澄ませ耳を傾ければ、それぞれのベストな状態になる様に人生は設計されています。』同感です。

      そして私はもっぱら、「今世をプランニング」したであろう自分に向かって、「ちょ、おま、ええ加減にせぇよ、詰め込み過ぎで過労死するわ」と罵り続けています。(笑)

      何はともあれ、退屈とは無縁の人生、、、そう思えば、必ず「小人閑居して不善をなす」であろう私という人間の「己を知る」プランニングではあるのだと溜息をつくばかりです。合掌。

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